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「全人類を苦役から解放」目指す 人機一体が開発した零一式カレイド「人型ロボット」の実力(2/2 ページ)

» 2025年02月12日 15時49分 公開
[産経新聞]
産経新聞
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金岡博士はこう語る。

 ロボットは、人が動かすタイプにこだわりを持っている。

 「人工知能(AI)でロボットを完全自動化するのは、まだ少し難しい。人が操作するからこそ、状況に応じて、複雑な現場作業を行える」

操作の習得も容易だ。

 「たとえば重機を操るのは難しく、熟練するのに何カ月も何年もかかる。しかし人機一体のロボットは、簡単な操作なら5分ぐらいでできるようになる。数時間とか1日かければ熟練が可能だ」

 万博への出展で来場者に金岡博士が問いかけたいのは「日本の高いロボット技術を産業化し盛り上げることは、日本自身の手でおこなうべきではないか」ということだ。

 「コンピューターもAIも日本は研究レベルではいいところまで行ったのに、社会実装(実社会での活用)は米国や中国に置いていかれた。リスクを取りお金を出してまで社会実装しようというマインド(心の姿勢)が日本人にはないのだろう」

日本のロボット技術が日本を支えるロボット産業に育つのか「いま分岐点にある」と金岡博士。万博で日本人のマインドセットを急ぐ。(山口暢彦)

愛知万博のリベンジ

──ロボットは子供のころから?

金岡博士:「同世代の男の子と同じ程度に好きでしたが、マニアだったわけではありません。ロボット工学を学ぶようになったのは、京大大学院で化学工学の修士課程を終えた後、機械工学の博士課程へ進んでからです」

──ロボットの魅力は

金岡博士:「面白いと思ったのはロボットをつくることよりも、ロボットを制御することです。完成したロボットに、コンピューターを使って適切な指令を出し、うまく動かすことを勉強しました。車の運転もそうですが、大きなモノを自分のスキルでうまく操ることが人間は本質的に好きなのでしょう」

万博を機にロボット産業を日本で育てたいと語る人機一体社長の金岡博士。金岡博士はビジネスネーム=滋賀県草津市(柿平博文撮影)

──ロボット工学で博士号を取り、立命館大の研究者となります

金岡博士:「立命館大として、2005年の愛知万博のプロトタイプロボット展にロボットを出展しました。メディアから取材されるなど注目され、社会実装が進むきっかけになることを期待したのですが、残念ながら、まったく進みませんでした。私自身も若くて、何もできなかった悔いがあります」

──万博には、愛知万博から20年をへての参加になります

金岡博士:「技術的にもロボットで世界を変えることは夢物語でなくなりました。あとは日本人のマインドの問題で、だれかがリスクをとって社会実装に向け取り組むか取り組まないかです。日本でロボット産業を成長させるきっかけとなるのか。今回の万博は、愛知万博のリベンジ(雪辱)だと思っています」

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