2025年1月、フューチャーグループの一員として多くの企業のセキュリティ対策やインシデント対応を支援してきた旧ディアイティは子会社の旧サイバー・ソリューションと合併し、「フューチャーセキュアウェイブ」として新たなスタートを切った。
この合併およびリブランディングは、グループ全体にとって大きな意味を持つという。フューチャーとフューチャーセキュアウェイブの経営陣4人への取材を通じて、合併の背景や今後の展望を探る。
「1980年代以降、日本企業は変革の必要性に気付くのが遅れ、技術革新に十分対応できていないという現実があります。フューチャーグループは1989年の創業以来この危機感を抱き、ITを通じて日本企業の変革を支援し、日本経済全体の活性化に貢献することを目指してきました」
グループCEOの金丸恭文氏はこう語る。今回のフューチャーセキュアウェイブの発足は、こうしたグループ全体のミッションを実現する上で極めて意義深いという。
グループの中核企業であるフューチャーアーキテクトが「経営とITをデザインする」ことを掲げているように、今はビジネスとITが切り離せない時代であり、企業のデジタル資産は増加し続けている。同時に高まるのがセキュリティリスクだ。
金丸氏は次のように話し、フューチャーセキュアウェイブに期待を寄せる。
「先進国の中でも日本のセキュリティ投資の割合は依然低い状況です。しかし、セキュリティ対策は企業にとってますます不可避な課題になっています。既にグローバルなサプライチェーンでは、業界標準のセキュリティガイドラインを順守しなければ取引できないといったリスクも生じています。ですからシステム構築においても、設計の段階からセキュリティ対策を織り込むことが必要です。
グループとしては、フューチャーセキュアウェイブのセキュリティ専門家がシステムの設計段階からプロジェクトに参画することで、お客さまの“未来の設計図”にセキュリティを組み込める体制を提供する考えです」
フューチャーセキュアウェイブの代表取締役に就任した稲垣哲也氏は、2023年2月から旧ディアイティの代表取締役社長を務めてきた。旧ディアイティはインターネット黎明(れいめい)期からサイバーセキュリティを専門に扱ってきた企業だ。インシデント対応の支援については、技術面の調査や対応のみならず組織の危機管理の活動全般もサポートしており、デジタルとアナログ両面の対応策をワンストップでカバーできる数少ないセキュリティ企業の一社として知られていた。
旧ディアイティの代表取締役社長に就任した当初から、稲垣氏は顧客企業の情報インフラの設計・構築、24時間365日体制の運用支援を提供してきた旧サイバー・ソリューションとの合併を意識していたという。
「旧ディアイティには高度なセキュリティスキルを持つ人材が集結していました。故に技術の探求に卓越しており、課題解決に深くアプローチできましたが、会社としてその価値を世間に広くアピールしてスケールする体制が十分でない部分もありました。対して旧サイバー・ソリューションは、幅広い企業のセキュリティシステムの運用支援に強みを持っていました。両社が一体になった今、“深さ”と“広さ”を兼ね備えた、より付加価値の高いセキュリティソリューションを提供できると確信しています」
新社名には「Future:未来、フューチャーグループの一員」「Secure:安心・安全」「Wave:新しい波を作り出す」という思いが込められている。グループの一員であることを前面に出した社名にすることで、グループ各社との連携を深めていく意思を込めたと稲垣氏は語る。
フューチャーセキュアウェイブは独自の「セキュリティライフサイクル」をベースに各種サービスを提供する。サイクルは「現状調査」「企画設計(+経営戦略)」「対策実施」「検証評価」「運用(+事故対応)」から成り立っており、これらを有機的に連動させて絶え間なく回すことを重視する。
セキュリティライフサイクルの構成からも分かるように、同社の強みは「セキュリティ対策の提供」ではない。企業が守るべき資産を特定し、弱点を認識して対策を打ち、攻撃検知や有事の際の対応も行う「一気通貫のサポート体制」だ。
「高性能なセキュリティ製品を導入しても、1カ所でも弱い所があれば攻撃者はそこを突いて侵入します。従ってセキュリティ対策は単一の製品導入だけでは不十分であり、守るべき資産と弱点を認識した総合的な戦略を立てることが重要です。攻撃をいち早く検知できることはもちろん、侵入を許した際に機動的に対応できる体制の構築や日頃の訓練も欠かせません」
稲垣氏は「セキュリティ対策を『導入して終わる』のではなく『継続的に運用する』ことで初めて安全なビジネス成長を目指せる」と説き、続ける。
「フューチャーセキュアウェイブは、厳しいビジネス環境の中でセキュリティ対策を実装する苦労からお客さまを解放して本業に集中できる環境をつくる、フューチャーグループ内の重要なピースになると自負しています。グループシナジーによってDX戦略という“攻め”と、セキュリティという“守り”を一体化したサービス提供を強化することで、お客さまの未来価値を最大化することをお約束します」
フューチャーセキュアウェイブ発足前からつながりを持つフューチャー グループCTO(最高技術責任者)の齋藤洋平氏と、フューチャーセキュアウェイブCTOの青嶋信仁氏は語る。
「お互いの専門性の高さを認識したのは、2015年に発生した日本年金機構への不正アクセスによる情報流出事案の検証委員会でした」
齋藤氏は当時、旧ディアイティの取締役だった青嶋氏と原因究明に当たった。以降、ビジネスにおいてもお互いの専門性を生かして企業のインシデント対応やシステムのペネトレーションテストなどで協業した。そして今回の再編で旧ディアイティが「フューチャー」の名前を冠したセキュリティ企業へと生まれ変わり「これまでにないシナジーによって新たな価値を生み出すことがテーマとなった」と話す。
既にいくつかの取り組みも始まっている。グループで保守運用に強みを持つフューチャーインスペースとフューチャーセキュアウェイブ、フューチャーアーキテクトの3社でセキュリティオペレーションセンター(SoC)を立ち上げた。社会インフラを担う企業に向けて、専門性を生かした支援を提供することが目的だという。
「主要事業会社のフューチャーアーキテクトは、システムだけでなく組織の在り方やIT人材の育成、技術移管による内製化など経営課題を解決するための仕組みづくりを総合的にデザインしています。そこに、フューチャーセキュアウェイブの専門性を生かして、システムの設計段階からセキュリティ対策を組み込むセキュリティ・バイ・デザインの考えを組み入れることもできます」
経営の観点からセキュリティ対策の強化を促せば、セキュリティライフサイクルの網羅性をさらに高めることができ、セキュリティ一体型の経営戦略を示せる。
「専門性の高さ、技術選定の目利き力をグループとして発揮することで、お客さまの経営をトータルでサポートできると考えています。そして、お客さまの組織も含めてしっかりとビルドアップし、成長を支援します」
フューチャーアーキテクトとの連携を通じて企業の経営層に直接アプローチが可能になることには、大きな価値があると青嶋氏も感じている。
「企業の経営層からは、『うちには攻撃者に狙われるような情報資産はない』という声も聞こえてきます。しかし昨今のサイバー攻撃は高度化しています。自社の情報漏えいだけでなく、ランサムウェアによってシステムが停止したり、サプライチェーンを狙う攻撃によって二次・三次被害をステークホルダーに与えたりする可能性があるのです。こうしたリスクをあらためて認識する必要があります」
サイバーセキュリティを取り巻く環境は刻一刻と変化するため、常に最新の状況に即応できる体制を築くことが求められる。これは、稲垣氏が話す「セキュリティ対策は継続的に運用することが重要」という主張につながる。
しかし現実には、一般的なシステム導入プロジェクトと同じ感覚で「セキュリティ製品を入れたから終わり」と捉えてしまいがちだ。運用への投資が軽視される傾向にあることについて、「ITの進化が10進んだら、同時に10のセキュリティリスクも発生します。この表裏一体の関係性を理解してセキュリティ運用に投資することが大切です」と青嶋氏は説く。
こうした経営への啓発活動も含め、フューチャーセキュアウェイブは今回の合併およびリブランディング発足を機に今まで以上にグループ各社の知見を結集させ、包括的なセキュリティソリューションを顧客に提供していく考えだ。
稲垣氏は意気込む。「フューチャーセキュアウェイブが始動した今、グループとしての一体運営を強化し、非連続的な成長を目指せる環境が整っています。私たちは、インシデント発生後の対応だけではないセキュリティ対策、ひいては経営戦略の『根本的な体質改善』を促すことで、日本全体のセキュリティレベル向上に貢献します」
フューチャーセキュアウェイブ株式会社
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提供:フューチャーセキュアウェイブ株式会社
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