ITmedia NEWS > 社会とIT >

「使い方誤れば逆効果」ハンディーファン、ネッククーラー……熱中症対策グッズに潜むリスク

» 2025年08月20日 10時57分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 各地で記録的な猛暑が続く中、東京都心は8月19日、最高気温35度を記録する猛暑日となり、ハンディーファンやネッククーラーを使用したり、紫外線(UV)カットの衣類や帽子を着用したりして外出する人の姿が目立った。すっかり定着した感がある猛暑・UV対策アイテムだが、専門家は「使い方を誤れば逆効果」と警鐘を鳴らす。便利グッズに潜む意外なリスクを探った。

photo 厳しい暑さの中、携帯型の扇風機を手に歩く人たち=19日午後、東京都渋谷区(酒井真大撮影)

かわいいけれど

 量販店などで手軽に手に入るハンディーファン。特に若年層を中心に、デザイン性の高い製品が人気を集めている。都内在住の20代女性は「汗をかかなくて済む。かわいいのでファッションアイテムとしても持ち歩いている」と話す。

 しかし、体温よりも気温が高くなることも珍しくなくなってきた昨今、気候次第では、ハンディーファンを使うことで涼を得るどころか、ただ体に熱風を吹き付けることになりかねない。救急専門医で熱中症に詳しい臨床教育開発推進機構理事の三宅康史氏は「体温を超える気温の中でハンディーファンを使うと、体温を上昇させる可能性があり、熱中症のリスクが高まる」と警鐘を鳴らす。

 バッテリーの過熱にも注意が必要だ。リチウムイオン電池を搭載した製品が多く、炎天下で使い続けるなど使い方を誤れば、故障や発火の可能性がある。実際にリチウムイオン電池を原因とした発火・火災事案は各地で発生しており、細心の注意が求められる。

引っ掛かり

 「登下校時が心配。少しでも涼しくなれば」。小学3年の長女にネッククーラーを持たせている母親(38)は、強い日差しが照りつける中での朝の登校を見送るたびに、猛暑への不安を感じている。

 ネッククーラーは、保冷剤の入った製品を首に巻くだけのシンプルな仕組みで、首元を直接冷やすことができる。三宅氏も「首にある太い静脈を冷やすことができ、非常に効果的」と話す。

 しかし、油断は禁物だ。電気を使わずデザインもコンパクトなため、大人はもちろん、子供の使用が多くみられるネッククーラーだが、「遊具に引っ掛かり危険な状態になるように、何らかの事故で首が絞まってしまうリスクはある」と指摘する。

UV対策

 日焼けなどの原因となるUV対策については、男女問わず取り組む姿が目立つようになった。主にUVをカットする効果が期待される長袖の衣類やアームカバー、顔を覆うマスクなどが広く使われている。しかし素材や着用方法によっては体に熱がこもり、熱中症リスクを高めることにつながる。

 毎年UV対策に取り組むという大学生の女性(20)は「日焼けは防げるけれど、そのぶん暑さがつらい。どちらを優先するか毎年悩む」と話す。

 三宅氏は「UVカットだけを求めると熱中症のリスクは高まる。吸湿性や速乾性を重視して衣類を選ぶとよい」と指摘する。都環境局も、熱中症対策の観点から、吸水性や速乾性に優れ、熱を吸収しにくい白や黄色の衣服を選ぶよう呼びかけている。(M佳音)

photo

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.

アイティメディアからのお知らせ

あなたにおすすめの記事PR