「PC販売はやめようか」――川越の小さなIT企業が迫られた決断 “三河屋スタイル”を守った生存戦略とは

PR/ITmedia
» 2025年09月16日 10時00分 公開
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 埼玉県川越市。古くから交通の要衝として栄える土地で、歴史的な町並みを生かした観光業や工業団地を中心とする製造業などが同市を支えている。蔵造りの建物が残る「小江戸」エリアからほど近い場所にあるのが、ITコンサルティング会社であるイー・レンジャーの事務所だ。

 川越企業の「ITの困り事」を解決する地元密着型の企業として地域に受け入れられているイー・レンジャーだが、ここまでの道は平らではなかった。信頼関係を築くには、何年もの地道な取り組みが必要だったという。さらに同社を悩ませたのがIT支援に欠かせないPCやサーバといったハードウェアの取り扱いだ。後払い方式だったため会社のキャッシュフローを圧迫し、一時はハードウェア販売からの撤退を考えるほどだった。

 窮地にあったイー・レンジャーは、デル・テクノロジーズの無償プログラムを利用することで危機を勝機に変えた。地方の小さなIT企業が企業価値を存分に発揮し、顧客のIT支援とビジネス拡大を両立させるまでの軌跡を追う。

photo 小料理屋の跡地を利用しているイー・レンジャーの事務所

川越生まれの小さなIT企業 ビジネスの夜明けは「相当厳しかった」

photo イー・レンジャー 鈴木覚氏(代表取締役)

 イー・レンジャーは、川越で生まれ育った鈴木覚氏が創業した会社だ。「家業を継いだ同級生や川越で商売をしている友人などが多く、会社や店舗でのIT活用について相談されたのが当社の原点です」

 当初は週末に手を貸す程度だったが、鈴木氏の中で「地元を支えたい」という思いが強くなり、ついに川越での起業を決意。2009年に法人登記した。鈴木氏の熱意に動かされた小高哲也氏が2014年に加わったが、現実はそう甘くなかった。

 鈴木氏は「最初の数年間は売り上げがほとんど立たない日々が続きました」と振り返る。突破口を開くため、川越の観光協会や商工会議所に通い詰めて会員や組合員との接点を増やした。観光協会のWebサイト制作を手掛けて知名度を上げるなど地道な営業活動が続いたという。


photo イー・レンジャー 小高哲也氏(博士(工学))

 「事業としては相当厳しかったです。地方の主要企業は大手SIerと懇意な関係にあり、中小企業のIT支援は昔からのOA機器販売店が担っている場合が多々あります。私たちのお客さまは従業員数人の小規模な企業が中心です。地元密着スタイルだと商圏が変わらないため、新しいサービスを増やし続ける必要もありました」(小高氏)

 イー・レンジャーは事業領域を拡大し、いまではWebサイト制作、情報セキュリティ対策、IT機器の運用、オフィススイートの導入支援、クラウド活用などを手掛けるに至った。2018年にはNVIDIA製GPUを搭載したサーバを買い、AIを使ったサーバの死活監視システムを開発。こうした取り組みが功を奏して、「あそこに頼めばなんとかしてくれる」「技術力は確か」という評判が少しずつ浸透していった。

「ハードウェア販売はもうやめようか」

 事業が軌道に乗り始めたイー・レンジャーだが、資金繰りは芳しくなかった。PCやサーバといったハードウェアの販売がネックになっていたのだ。

 「ハードウェア関係のキャッシュフローは大変でした。当社のような小さい会社が『納入前に先払いしてください』と言っても応じてくれるケースはまれです。1台当たりの単価が高いため、数十台の納入が重なると資金がひっ迫して慌てることがありました」(鈴木氏)

 地元企業の「PCもお任せしたい」という声に応えたいが、ハードウェアの販売は利益を生むどころか資金繰りを苦しめる要因になってしまう――こんなジレンマに陥ったイー・レンジャーでは「もうハードウェア販売はやめようか」という議論があったと小高氏は語る。

 会社を存続させるには苦渋の決断もやむを得ないという空気が社内に満ちていたころ、1本の着信が入った。電話の主はデル・テクノロジーズ。イー・レンジャーの課題を解決する無償の認定メンバープログラム「Dell Expert Network」への参加を誘う内容だった。

 イー・レンジャーは自社でデル・テクノロジーズ製品を利用しており、性能を高く評価していた。鈴木氏は「故障時のサポート体制が手厚く、電話すれば日本のカスタマーセンターにすぐつながるため非常に助かっています」と言い、既にユーザーだったこともありDell Expert Networkを抵抗なく受け入れられたと話す。

「PC販売で稼ぐ気はない」 Dell Expert Networkが画期的なワケ

 Dell Expert Networkは、従業員100人以下の企業向けにビジネスを展開するITコンサルティング企業やマネージドサービスプロバイダーを対象にしている。顧客からハードウェア導入の相談を受けた認定メンバー企業は、デル・テクノロジーズの窓口に連絡。専任アドバイザーに要件に合う製品や見積もりをまとめてもらい、顧客自身がデル・テクノロジーズから製品を購入する。要件の取りまとめから専任アドバイザーに任せることも可能だ。

 同プログラム限定の特典もある。認定メンバー企業の顧客がハードウェアを購入する際には特別な値引きが適用されるのだ。さらに、購入額に応じて認定メンバー企業にポイントが付与され、そのポイントで自社用のPCやサーバ、モニターなどを購入できる点も魅力的だ。最新テクノロジーや市場トレンドなどを提供するウェビナーにも参加できる。

photo Dell Expert Networkの概要(提供:デル・テクノロジーズ)《クリックで拡大》

 「ハードウェア販売をやめようと話していたところで、渡りに船でした。仕入れの負担がありませんし、専任担当が付くのでお客さまの要望に合わせた機器選定も『こんな感じでお願いします』とメールを送ると、キャンペーンなどを加味した最適な見積もりが当日中に返ってきます。それをお客さまに提案して、デル・テクノロジーズから直接購入してもらうだけです」(鈴木氏)

 思わぬ副次的効果もあった。イー・レンジャーが自社で作成した見積もりを提示すると「まずは値引き交渉から」という反応だった顧客が、デル・テクノロジーズの見積もりを渡すと「こんなものか」とすんなり通ることが多く、話が早くなったと鈴木氏は話す。

 ある顧客から「70台のPCを全て入れ替えたい」と相談を受けた大型案件も、Dell Expert Networkのサポートでトラブルなく乗り越えられたという。「Windows 11」への移行ニーズもあり、同プログラムに参加してから顧客のハードウェア導入支援数が増えているそうだ。

 「私たちはPCの販売で稼ごうという気はありません。PCのキッティングやサーバの運用といったアフターケアをビジネスにしています。また、『PCのことは当社に丸ごと任せている』という枠組みを作ることで、追加の相談につながったケースもあります。他社が営業に来ても『あそこに頼んでいるから』と断りやすくなるメリットもありますね」(鈴木氏)

photo デル・テクノロジーズ 石川一郎氏(ビジネス営業統括部 ストラテジック・パートナシップ アカウントエグゼクティブ)

 デル・テクノロジーズの石川一郎氏は「三者三得のプログラムです」と強調する。認定メンバー企業の顧客は、ハードウェアを割引価格で購入できる。認定メンバー企業は、在庫を抱えずに顧客の要望をかなえられる上に、ビジネスを拡大させられる。もちろんデル・テクノロジーズにとっても利点がある。

 「パートナー企業さまが築いてきた信頼関係を頼ることで、私たちの手が届いていなかった小規模企業者にアプローチできます。認定メンバー企業さまには、見積もりやハードウェア構成の支援だけでなく、経営相談や営業サポートなどデル・テクノロジーズのリソースを徹底的に活用していただきたいですね。当社の東京・大手町オフィスにお客さまを招いて共同セミナーを開催したり、商工会議所に出向いてDX相談会を開いたりできます。Dell Expert Networkの使い方は皆さま次第です」

 ある商工会議所でDX推進担当を務める一行が、デル・テクノロジーズの大手町オフィスをバスで訪ねてセミナーに参加した事例がある。認定メンバー企業を集めたゴルフコンペや懇親会もあり、横のつながりが生まれることで協業につながったケースもあるという。

地方には「三河屋のようなビジネスモデル」が必要

 Dell Expert Networkが従業員100人以下の企業をターゲットにしているのは、ITサポートが届きにくい小規模企業者を支えたいという意思があるからだ。

 「大手SIerが入り込んでおらず『相談先がない』『何をすればいいか分からない』という企業がたくさんあります。Dell Expert Networkを利用していただくことでIT活用に弾みをつけていただくと同時に、それを支援する地元のIT企業のビジネス拡大にもつながると考えています」(石川氏)

 鈴木氏は「まさに当社がターゲットにしている層です」と同意した上で続ける。

 「大手SIerの担当者がころころ変わる、コロナ禍以降は営業担当があまり来なくなった、などの話をよく聞きます。地元の企業さまと長くお付き合いをする中で、『三河屋のようなビジネスモデル』でないと地方の小規模企業者を顧客として引き留めるのは難しいと考えています。『こんなことがしたい』と言われたらすぐ応えられる体制が必要です」

 Dell Expert Networkに参画したことで、イー・レンジャーにとっての足かせになっていたハードウェア販売という課題が解決。これによって「顧客に寄り添うサービス」に一層注力できるようになった。

photo Dell Expert Networkの認定証を掲げる鈴木氏(※「デル ITエキスパート プログラム」は2024年10月29日にDell Expert Networkに改称された)

地元企業のIT支援をDell Expert Networkで実現

 地元企業のIT課題を解決してきたイー・レンジャーがいま気にしているのが、クラウドサービスを巡る問題だ。小高氏は「利用料金の値上げに困っているお客さまを多数知っています。気の毒でなりません。オンプレミスか、代替のサービスが必要です」と同情を示す。

 石川氏によると、Dell Expert Networkを先行して展開している欧米ではマネージドサービスプロバイダーの利用が多いという。同プログラムを通して購入したサーバを自社の設備にし、ソフトウェアやサービスを乗せてSaaSやPaaSのように月額料金制で提供するケースが多いのだ。この仕組みを応用すれば、日本でも地域や企業に合った月額制サービスを展開できる可能性があると石川氏は期待を寄せる。

 地元密着型のITコンサルティング企業としてビジネスを拡大してきたイー・レンジャーの根底には、「地元を支えたい」という創業当時の思いがいまもなお色あせずに息づいている。大手資本の論理だけでは救いにくい企業にも真摯(しんし)に向き合う同社の姿は、地方のIT支援における手本のようだ。

 Dell Expert Networkは、参画する企業を募っている。石川氏は「パートナー向けのプログラムとしてユニークな取り組みであり、既に多くの認定メンバー企業さまにご支持をいただいています。今後、今以上にデル・テクノロジーズと組んで良かったと思ってもらえるプログラムにしていきたいです」と語る。自社のビジネスを加速させたいと考えている企業は同社に相談してみてはいかがだろうか

photo 左からデル・テクノロジーズ 石川一郎氏、イー・レンジャー 石川雄一郎氏(コンサルタント)、小高氏、鈴木氏

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2025年9月29日