中堅企業の「Microsoft 365」事件簿に見る、カスタマーサポート部隊の応用力

PR/ITmedia
» 2025年12月23日 10時00分 公開
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 DXや働き方改革の一環でITインフラ改革に取り組む企業が多い。テレワークやAI利用に堪える性能のPCにリプレースする、ハイブリッドワークやコラボレーションを推進するために「Microsoft 365」などのクラウドサービスを導入するといった取り組みが目立つ。

 情報システム(情シス)担当者にとっては「言うはやすく行うは難し」というのが本音だろう。導入時の検証やキッティング、不定期にアップデートされる新機能のチェック、複雑化するセキュリティ設定の把握など対応することが山ほどある。トラブルが起きると、「業務が止まってしまう」という圧を受けながら解決方法を探る。大企業はもとより、社内にIT人材が少ない中堅・中小企業の情報シス部門は孤独な戦場に立っている。

 そんな情シス担当者が頼る相手が「カスタマーサポート」だ。「サポート窓口に相談してピンチを乗り越えた」「あの企業は対応が良かった」という経験がある読者も多いはずだ。“プロのカスタマーサポート”は、情シス担当者の課題をいかに解決しているのか。

 カスタマーサポートの裏側を知るために、デル・テクノロジーズの宮崎カスタマーセンターを訪れた。同社は「日経コンピュータ 顧客満足度調査」のデスクトップPC部門で1位を5年連続で獲得していることからも分かる通り、サポート品質の高さに定評がある。宮崎を拠点に、全国から寄せられるMicrosoft 365関連の相談に乗るチームを取材した。

デル・テクノロジーズの宮崎カスタマーセンター デル・テクノロジーズの宮崎カスタマーセンター

カスタマーサポートで顧客にとっての“DXスペシャリスト”に

 デル・テクノロジーズは、国内を基盤としたカスタマー対応を特徴とし、中でも宮崎カスタマーセンターは開設から20年を超え、約400人が在籍している。その中で異彩を放つのが、Microsoft 365の導入や運用を支援する「Dell CSP サポートチーム」だ。同社は、Microsoft 365を代理で提供するプログラム「Cloud Solution Provider」(CSP)に参加しており、デル・テクノロジーズを介してMicrosoft 365を購入した顧客に寄り添うのが同チームの役割だ。

 Dell CSP サポートチームは、PC部門やエンタープライズサーバー部門など、それぞれ異なるサポート部門での経験を経たメンバーが集まって構成されている。少人数ながら、ハードウェアやOS、シンクライアント、ネットワーク、クラウド、AIなど多岐にわたる資格やベンダー認定を取得している精鋭部隊だ。それぞれが異なるバックグラウンドや技術知識を持っており、チームとして補完し合うことで総合力を発揮していると同チームの寺坂氏は説明した。

デル・テクノロジーズの寺坂氏、主な保有資格:Microsoft 365 Fundamentals(MS-900)、Azure Fundamentals(AZ-900)、Microsoft Power Platform Fundamentals(PL-900)、ITILv4 デル・テクノロジーズの寺坂氏(テクニカルサポートエンジニア)
主な保有資格:Microsoft 365 Fundamentals(MS-900)、Azure Fundamentals(AZ-900)、Microsoft Power Platform Fundamentals(PL-900)、ITILv4

 電子メール、電話、チャットで問い合わせが入ると、トラブルの状況やIT環境をヒアリングして解決策を伝える。毎週20件から30件の相談が舞い込み、「これを実現できますか」といった質問や仕様の確認であれば数日で、トラブルシューティングや検証は約2週間で対応している。状況確認や検証作業が長引くこともあるが、丁寧かつ迅速なサポートを心掛けていると寺坂氏は語った。

 「基本的な質問であれば迅速に回答し、仕様に関するものであればMicrosoftと連携して正確な答えをお渡ししています。『自社のテナントに合う設定が知りたい』『複雑なトラブルが起きた』ということであれば、検証環境を設けて状況を再現しながら対応に当たります。技術的にどうしても解決できないことがあれば、『こういう手がある』と代替策を提案するなどお客さまに寄り添うようにしています」

 カスタマーサポートに相談する顧客には「やりたいこと」「理想の姿」があるはずだ。Dell CSP サポートチームで実現できなくても、他の手段を伝えることが顧客の役に立つと同チームの藤田氏は話した。

 「Microsoft 365はクラウドサービスなので管理の負担を軽減できますが、クラウドサービスであるが故に応えられない要望もあります。そんな場面こそDell CSP サポートチームの腕の見せどころです。お客さまの相談内容から『最終的にどうなりたいのか』『どのような運用にしたいのか』といったニーズを見抜き、Microsoft 365で実現したり代替策を伝えたりする“DXスペシャリスト”になりたいのです」

デル・テクノロジーズの藤田氏、主な保有資格:Microsoft Azure Administrator(AZ-104)、Microsoft 365 Fundamentals(MS-900)、Azure AI Fundamentals(AI-900)、CCNA(Cisco Certified Network Associate)、LPIC-1(Linux Professional Institute) デル・テクノロジーズの藤田氏(テクニカルサポートエンジニア)
主な保有資格:Microsoft Azure Administrator(AZ-104)、Microsoft 365 Fundamentals(MS-900)、Azure AI Fundamentals(AI-900)、CCNA(Cisco Certified Network Associate)、LPIC-1(Linux Professional Institute)

「OneDriveを使わせたくない」という運用をどうデザインするか

 顧客からの難題を解決し、目指す運用体系を実現した例がある。「『SharePoint Online』を使いたいが『OneDrive for Business』は使わせたくない」という依頼があった際、OneDrive側に強い制限をかけると別の問題が発生するという壁に直面した。文章だけだと伝わらないことが多いため、画面キャプチャーや動画を送ってもらってエラーメッセージを確認するなど、情シス担当者と試行錯誤を繰り返して妥協点を見いだした。

 「お客さまの要望をそのまま設定すると、別の機能まで止まるリスクがありました。お客さまの業務フローに照らし合わせて、『この設定をすると現場の方はこういう動きになりますが大丈夫ですか?』と具体的に伝えることで、利便性とセキュリティレベルを両立させるラインを擦り合わせました」(寺坂氏)

中堅メーカーの「ID不一致問題」を解決するまで

 クラウドサービスのトラブルは、さまざまな要因が絡むため原因の特定が難しい。ハイブリッド環境ではその難易度が跳ね上がる。Microsoftはハイブリッド環境のID管理を統合する「Microsoft Entra Connect」を提供しており、オンプレミスの「Active Directory」とクラウドの「Microsoft Entra ID」を同期させられる。ここでトラブルが発生した。

 従業員約300人の中堅メーカーから「Active Directoryで変更したユーザー情報がクラウド側に反映されず、Microsoft Teamsのユーザー情報が更新されない」という相談が寄せられた。藤田氏は「認証基盤のトラブルは、対応を誤るとITシステム全体に影響を及ぼす危険性があるため慎重な調査が必要でした」と振り返る。

 調査の結果、ユーザーアカウントを削除して作り直していたことが判明。ユーザー情報の一貫性を保つ「オブジェクトID」が2つ発行されており、「ユーザー名は同じだがオブジェクトIDが異なる」という状況になっていた。しかし、ひも付け作業をしたが改善しない。藤田氏は「Active Directoryではなく、クラウド側の不変ID(ImmutableID)に不整合が起きている」とにらんで検証し、回復用にPowerShellのコマンドを送付したところ問題が解消された。

 「当社に相談する前に別のベンダーに問い合わせたものの解決せず、わらにもすがる思いでご連絡いただくケースも多々あります。クラウドだけでなくオンプレミスの知識があったからこそ、IT環境全体を俯瞰(ふかん)して原因を突き止められることがよくあります」(藤田氏)

メール不通事件は「1人では解決できなかったかも」

 「『Microsoft Outlook』で電子メールを送ると、客先に届くのにCCに入れた社内メンバーには届かない。業務に支障が出るから早く解決してほしい」という相談を受けた際は、「1人では解決できなかったかもしれない」とDell CSP サポートチームの下田氏はこぼした。

 セキュリティ機能によって電子メールの受信が隔離されていることは予想できたが、手を尽くしても原因が分からない。設定をいじって応急処置したものの完全な解決には至らなかった。手詰まりになった下田氏がチームメンバーに相談したところ、藤田氏が「メールヘッダーを確認してはどうか」と提案。分析したところ、電子メール認証技術「DMARC」の認証が失敗していたことが明らかになった。

 「1人で抱え込むと視点が固定され、解決の糸口が見えなくなることがあります。得意分野が異なるメンバーが知恵を出し合うことで、迅速に解決できるのが私たちの強みです」(下田氏)

デル・テクノロジーズの下田氏、主な保有資格:Teams Administratior Associate(MS-700)、Endpoint Administrator Associate(MD-102)、Microsoft Azure Administrator(AZ-104)、Azure Security Technologies(AZ-500)、ITILv4 デル・テクノロジーズの下田氏(テクニカルサポートエンジニア)
主な保有資格:Teams Administratior Associate(MS-700)、Endpoint Administrator Associate(MD-102)、Microsoft Azure Administrator(AZ-104)、Azure Security Technologies(AZ-500)、ITILv4

顧客満足度98% 「このサポートがあるから選んだ」

 「名称は『Dell CSP サポートチーム』ですが、Microsoft 365を利用するIT環境全体を対象にして総合的な技術支援を提供しています。トラブルシューティングの問い合わせよりも、『こういう運用がしたい』『この製品とこの製品を組み合わせたい』といった運用面の相談の方が多いため、お客さまと二人三脚で“正解”を目指しています」(下田氏)

 中堅・中小企業は情シス担当が1人しかいなかったり別業務と兼務していたりするケースが多く、新たなサービスの導入が大きな負担になる。「『ITの専門用語が分からない』『Microsoft 365の管理画面と格闘している』といったお客さまにも安心してご利用いただけるようにサポートします」(藤田氏)

Dell CSP サポートチーム内で案件情報やノウハウを共有し、迅速な課題解決につなげている Dell CSP サポートチーム内で案件情報やノウハウを共有し、迅速な課題解決につなげている

 こうしたDell CSP サポートチームの姿勢が評価され、サポート後のアンケートから算出される顧客満足度は98%を誇る。アンケートの自由記述欄には「丁寧」「親身」「迅速」といった言葉が並び、「このサポートがあるからデル・テクノロジーズを選んだ」という顧客も多い。

 デル・テクノロジーズのカスタマーサポートは、正社員が全案件に対応している。初期対応したエンジニアが案件クローズまで担当するケースオーナー制を採用し、たらい回しを防いで最短距離での解決を目指している。エンジニアが自主的にスキルを習得したり資格を取得したりする風土や、障害を想定した検証を日頃から行う文化があり、確かなサポートが可能だと藤田氏は説明した。

 生成AIサービス「Microsoft 365 Copilot」の運用に関する相談が最近増えているとのことで、Dell CSP サポートチームも最新情報のキャッチアップに努めている。

 寺坂氏は「『デル・テクノロジーズといえばハードウェア』というイメージが強いかもしれません。ハイブリッド環境が増えるいま、ハードウェアのことが分かる私たちだからこそ提供できるクラウド領域のサポートがあります」と結んだ。Microsoft 365を導入する上で、IT環境全体を踏まえてサポートするデル・テクノロジーズは企業の心強い味方になるだろう。

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提供:デル・テクノロジーズ株式会社
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