ファミレスでよく見かける、注文や会計に使うセルフオーダー端末などの「キオスク端末」を導入する企業が増えている。Android機器をキオスク端末化できるソリューションが登場し、低コストかつ手軽に導入できるようになった。キオスク端末導入の裏側を取材した。
卓上のタブレット端末でメニューの閲覧、注文、会計などを完結させられる飲食店が増えている。このようなセルフオーダー端末や自動精算機、ホテルやオフィスビルの受け付けシステム、観光施設や病院で貸与されるタブレット端末――こうしたセルフサービス端末を「キオスク端末」という。
専用の機器を開発する企業もあるが、既製品のタブレット端末やスマートフォンを流用して導入コストを下げる場合が多い。モバイルOSの「Android」搭載機器をキオスク端末化するソフトウェアの中には、1台当たり月額300円で利用できるものもある。低コストかつ手軽なことから、工場や倉庫で使うハンディーターミナルなどの業務用端末をAndroid機器に切り替える企業も出てきた。ニーズの増加に伴って、キオスク端末向けアプリを開発するベンダーも増えている。
Android機器をどうやってキオスク端末に変えるのか。街中で見かけるものの詳しく知らないキオスク端末の裏側について、端末管理に詳しいソフトバンクの早井美結氏に教えてもらった。
キオスク端末は、利用者と企業どちらにもメリットがあるため導入が広がっていると早井氏は話す。利用者にとっては「自分のペースで操作できる」「私物のスマホを使用せずに済む」といった利点がある。直感的に操作できるUI(ユーザーインタフェース)を備えたアプリを使い、店員に気兼ねなく注文できれば満足度の向上につながる。客のスマホのバッテリーやデータ通信容量を消費しない点も大きな効果だ。
企業にとっては、人手不足を解決する省人化や無人化のアプローチになる。注文や会計をキオスク端末に任せることで、接客や調理など「人の介在が付加価値を生む業務」に人材を割り当てられる。セルフオーダー端末であれば「おすすめ商品」を提案してクロスセルを狙え、受け付け端末であれば低コストで多言語に対応できる。非対面化による感染症対策としても有効だ。
消費者向け端末だけでなく、従業員が使う業務用端末にAndroid搭載機器を採用する動きもある。早井氏は「業務で使うハンディーターミナルは調達や設定、管理、交換などに高いコストがかかります。スマホで代用してコストダウンを図れるのです」と話す。現代人はスマホの操作に慣れているため、従業員の教育コストを抑えられる効果もある。
キオスク端末や業務用端末を導入する際に直面するのが、「利用者が不適切な操作をしてしまう」という問題だ。そのリスクについて早井氏は次のように話す。
「キオスク端末の管理が不十分だと『関係ないアプリを起動してしまう』『ホーム画面に移動してしまい元に戻せない』など、利用者が混乱する原因になります。『Webブラウザを操作できる』『端末設定を変更できる状態にある』といったセキュリティホールになり得るリスクが放置されているケースもあります」
業務用端末として従業員に配布する場合も同様で、「業務に関係ないアプリを使う」「悪意を持ってデータを外部に送信する」といった事態が起きる懸念がある。
不特定多数の人やITに詳しくない人が使うことを想定したセキュリティ対策や端末管理が重要だ。法人PCや社用スマホのように特定の人が汎用(はんよう)的に使う端末の保護は、「MDM(モバイルデバイス管理)ツール」を使うことが多い。しかし多機能かつ高価なため、特定用途に限定されるキオスク端末にはオーバースペックなこともある。そこで支持を集めているのが、機能を絞って安価に提供される“キオスク端末ソリューション”だ。
キオスク端末ソリューションの一つが、ソフトバンクの「KIOSTA」(キオスタ)だ。Android機器をキオスク端末化するもので、特定のアプリを固定したり遠隔操作で一括管理したりできる。
飲食店のセルフオーダー端末であれば、メニューアプリだけ表示させられる。ホームボタンを押しても他の画面に遷移しないようにすることで、客の混乱を防いだりセキュリティリスクを下げたりすることができる。「複数のアプリを固定可能で、ホーム画面の並び順を決めることもできます。アプリのアップデートや紛失・盗難時の端末ロックなどを遠隔で操作できるため、管理者の負担を減らせます」
導入ハードルの低さと管理の手軽さが支持され、さまざまな業種で導入数が増えている。マンションの各部屋に端末を置いて管理会社とのやりとりや、従業員が出退勤する際にタブレット端末で勤怠を打ち込む、などの事例がある。ある企業は、高齢者の安否確認や連絡用にタブレット端末を配布するに当たり、KIOSTAでタブレット端末の機能を制限したりアプリのアイコンサイズを調整したりして操作性を向上させた。
ある企業は顔認証システムとしてKIOSTAを利用している。出退勤を記録する端末としてKIOSTAを搭載したタブレット端末を選んだ企業もある。
「消費者や従業員が使う端末を効率的に管理する」という機能をどのようなシーンに適用するかは三者三様だ。早井氏は「飲食店での利用が多いと考えていましたが、当初想定していなかった用途でも採用が進んでいます。私たちが思い付かないような使い方をしていただきたいと思います」と呼びかける。
早井氏が「意外だった」と明かすのが、アプリ開発ベンダーがKIOSTAに注目していることだ。ベンダーが開発したアプリを企業に提供する際、端末とセットで納品するケースがある。市販のスマホに自社開発アプリを入れるだけでは、他のアプリや機能も使える“普通のスマホ”と変わらない。これでは「アプリを売っているのかスマホを売っているのか分からない」(早井氏)という状況だ。
「自社開発アプリのための端末」としてスマホを提供したいが、新たに管理システムを構築する余裕はない――そんなアプリ開発ベンダーからの引き合いが多い。KIOSTAを使えばベンダーはアプリ開発に集中できる上、リモートでアプリを更新できるなど、納品後のメンテナンスも楽になる。使えるアプリを限定することで想定外のトラブルを避けるという効果もある。
KIOSTAは、「Android機器のキオスク端末化」に特化している。Androidに限定することで管理画面や設定項目をシンプルにした。「Android機器は比較的安価で調達できます。利用範囲が限られているため『Android以外でなければならない』というケースはまれです」
KIOSTAで管理するAndroid機器は、企業が自前で用意するか、ソフトバンクが用意するかを選べる。携帯キャリアとしての顔を持つソフトバンクは、Android機器の調達や故障・紛失時の代替機の手配に強みがある。KIOSTAの管理画面で代替機の申請が可能だ。
Android機器を用意したら、KIOSTAの管理対象に登録して利用者や部署名などの情報を追加する。店舗や部署ごとにグループ化でき、「店舗Aが休業日のうちにアプリを更新する」※といった一括管理が可能だ。グループ単位でセキュリティ設定を変えることもでき、台数が多くても効率的に管理できる。端末情報をCSVファイルに出力してIT資産台帳として利用することも可能だ。
※自社開発アプリの場合に利用できる機能。端末側の設定が「即更新」になっており、休業日にKIOSTA管理画面からアプリを更新すると24時間以内に端末に反映される。
セキュリティ設定は、「不要なアプリに触らせない」「端末設定を変えさせない」というアプリ固定機能に加えて、OSやアプリのバージョンチェックに対応。また、端末とKIOSTAサーバ間で1日に1回通信を行うため、端末がネットワークに接続できているか確認できる。端末の盗難・紛失が発覚した際は、管理画面でリモートロックやリモートワイプが可能だ。
端末へのアプリ配信方法は「『Google Play』に公開されているアプリを入れる」「自社専用のアプリを入れる」「Webページを固定してWebアプリとして使う」などがある。「システムナビゲーションを非表示にする」「充電中のみ画面を点灯させる」など、端末の細かい設定もできる。「端末の『設定アプリ』で各種設定を反映させ、設定アプリを非表示にする」という方法もある。
アプリのインストールや設定変更の反映は、業務に支障がない時間を指定できる。「アプリが更新されたら24時間以内に反映する」という設定も可能だ。「メモリリークを解消するために『午前2時半に再起動させる』」などの一括管理に対応しているため、管理者の負担を減らせると早井氏は説明する。
KIOSTAの初期費用は0円で、1台当たり月額300円で利用できる。リモートロックなどのオプションを付ける場合は1台当たり月額500円だ。
「1台から契約可能で、Webサイトで申し込めます。24時間365日対応のヘルプデスクを用意していますが、ITに詳しい方であれば1人で設定できるはずです。無料トライアルも用意しているのでお気軽にお申し込みください」
電子メールやWeb会議ツールなどさまざまなアプリを従業員の裁量で使う場合は、MDMツールが適している。キオスク端末や業務用端末など用途が特定されている場合は、KIOSTAのコストパフォーマンスが良いと早井氏は強調する。事業会社もアプリ開発ベンダーも、まずは1台のトライアルから試してみてはいかがだろうか。
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