SBIグループのFOLIOホールディングスは、生成AIや独自のAI運用アルゴリズムを駆使して個人向け資産運用や金融業務変革の領域で成果を挙げている。成長を技術面から支えているのが子会社のAlpacaTechだ。
約6年で資産が2.7倍というパフォーマンス。個人向けAI投資サービス「ROBOPRO」(ロボプロ)が示した実績だ※1。
金融分野でのAI活用が加速する中、この数字をたたき出したのがFOLIOホールディングスだ。「明日の金融をデザインする。」をミッションに掲げ、SBIグループの一員として革新的な金融ソリューションを提供している。傘下には、一般顧客や金融機関向けに資産運用ソリューションを展開するFOLIOと、金融業界向けのAIソリューションを開発するAlpacaTechを擁する。
FOLIOとAlpacaTechが共同開発したROBOPROは、AIが相場を予測して資産配分を毎月自動で調整するロボアドバイザーだ。2020年1月のサービス開始から2026年1月末までの約6年間で+162%のパフォーマンスを達成※1。年率に換算すると約17%。コロナショックやトランプ関税ショックといった相場の急変動を乗り越えながら、安定的に高いパフォーマンスを維持してきた。
実績を支えているのは、金融とテクノロジーの両方に精通した組織体制だ。金融の知見がなければ適切なデータを選べず、技術がなければシステム化できない。FOLIOホールディングスは、この「両利き」の組織力でAI投資の最前線を走り続けている。
ROBOPROの投資対象は米国株式や新興国株式、債券、不動産、金など8種類の資産。これらの配分比率をAIが機動的に変更することで、上昇局面ではリターンを追求し、下落局面では損失を抑える運用を目指す。
AIはどのように相場を読んでいるのか。ポイントは「順位予測」という発想にある。「来月、米国株が何%上がるか」という絶対値の予測は極めて難しい。そこでROBOPROは、「8つの資産のうち、どれが最も上がり、どれが最も下がるか」という順位を予測する形に問題を単純化した。
分析に使うのは、銅価格や金利差など40種類以上の「先行指標」だ。これらは景気や相場の変化をいち早く織り込む性質を持つ。AIはこれらのデータを1000以上の切り口で分析して、人間では処理し切れない膨大な相関関係の中から重要な要素を特定する。
この仕組みが威力を発揮したのが、2020年のコロナショックだ。同年2月、AIは市場が暴落する直前に危険を察知し、株式を売却して債券の比率を高めた。その後、市場がまだ混乱している3月時点で「反発の予兆」を捉え、株式を買い戻し始めた。「人間は暴落の最中に恐怖で動けなくなりますが、AIはデータで判断できます」とAlpacaTechの北山朝也氏は話す。感情に左右されない点がAI運用の強みだ。
こうした実績を背景に、ROBOPROの運用エンジンは他の金融商品にも展開されている。2023年12月にはNISA枠での購入が可能な「ROBOPROファンド」がローンチされた。わずか2年強で純資産総額3000億円を突破した。
ROBOPRO戦略の広がりとともに、FOLIOホールディングスの総取扱資産残高は急成長しており、2026年2月時点で8500億円を超えた※2。この成長を技術面で支えているのがグループ会社のAlpacaTechだ。
AlpacaTechは金融領域を中心としたAI・データ活用事業を展開している。2022年7月に設立され、翌2023年7月にFOLIOホールディングスの子会社となった。
同社はデータウェアハウス「Snowflake」の導入支援でSELECTパートナーに認定されるなど、技術力への評価は高い。役職員約40人のうち、約半数がAI開発に関わるデータサイエンティストやエンジニアだ。日本取引所グループとの協業においては、取引データを活用した株価分析フレームワークを開発し、ホワイトペーパーを発行した。
現在、AlpacaTechが力を入れているのが、AIソリューションの外部展開だ。金融機関向けに培った知見を生かし、投資情報の自動生成サービス「アルクラ」と、複数AIを競わせる分析プラットフォーム「MixSeek」という2つのプロダクトを軸に事業を拡大している。
アルクラは、ニュースデータや顧客データなどのビッグデータを生成AIで解析して投資情報コンテンツの制作・配信を自動化するAIエージェントだ。開発のきっかけは、SBI証券からの相談だった。
「SBI証券はそれまで、投資情報のコンテンツ作成や内容確認に多くの時間を要していました。投資情報は鮮度が価値を左右するため、制作から配信までのプロセスを生成AIで可能な限り高速化・自動化できないかというご相談が起点となり、アルクラを開発しました」
金融機関が投資情報を発信する際に大きなハードルとなるのが、コンプライアンスチェックだ。アルクラは、審査基準をプロンプト(ガイドライン)として事前に整理・組み込み、法務審査の工程を大幅に削減。ハルシネーションのリスクを避けるため、元データの要約に徹する設計を採用した。ターゲット層に応じてコンテンツを出し分け、原則として配信まで人手を介さず完結する。
SBI証券は、アルクラを活用して投資情報サービス「朝刊・夕刊」を展開している。導入効果は顕著で、2025年6月の月間データでは従来のレポートと比較してアクティブユーザー当たりの閲覧数は3倍、エンゲージメントは11倍に伸長した。加えて、2024年12月のサービス開始以降、AI起因のクレームは0件を維持している。担当者はコンセプト設計などの付加価値が高い業務に集中できるようになり、人間では難しい質と量のコンテンツ発信がAIで可能になった。
このAlpacaTechとSBI証券の取り組みは、2025年3月にGoogle Cloudの「第3回生成AI Innovation Awards」(第5回以降は「生成 AI 事例アワード」に名称変更)で最優秀賞を受賞した。
MixSeekは、複数のAIエージェントをコンペ形式で競わせ、最良の分析結果を導き出すプラットフォームだ。ChatGPT、Gemini、ClaudeといったAIが同じテーマを分析し、結果を比較・統合する。
開発の背景には、金融分野特有の課題があった。投資の意思決定においては、複数の視点やアイデアを比較・検討することが求められる。しかし、既存のLLMやAIエージェント開発SDKをそのまま使うだけでは、金融業務に必要なプロセス設計を織り込みにくい。単一のAIに複数案を出させても発想が似通ったものに収束しがちだ。
「MixSeekは、複数のAIを用いることでアルゴリズムや見立てのバリエーションを意図的に増やし、より良いアウトプットに到達できる確率を高めます。金融分野においては、この多様性の確保が意思決定の精度向上につながるのです」
仕組みの原型は、データサイエンスコンペティションプラットフォーム「Kaggle」での経験だ。AlpacaTechは日本企業が主催した2つのコンペで設計・運用を担当。「複数のアプローチを競わせ、評価し、改善を回しながら最良解に近づける」というコンペの知見をプロダクトに落とし込んだ。
これによって、同社内で2カ月以上かかっていた分析が、MixSeekを使えば約10分の1の工数で完了するようになった。
想定するユースケースは3つ。1つ目は投資戦略の開発やリスク管理といった専門的な分析業務の自動化。2つ目は調査から要約、示唆出しまで一貫して行うリサーチ業務の支援。3つ目はSnowflakeなどのデータ基盤で日次の大量データを分析し、ダッシュボード作成やインサイトの自動配信を担う。
AlpacaTechは現在、生成AI活用における安全性・信頼性の確保に取り組んでいる。2026年2月には、東京大学松尾研究室発のスタートアップであるElithとの業務提携を発表した。
生成AIの業務活用が広がり、不適切な出力や情報漏えい、ガバナンス対応といったリスクが課題となっている。特に金融機関は、AI活用に当たって高度な安全性と説明責任が求められる。Elithは、生成AIの応答品質をリアルタイムにチェックして改善提案を行う品質評価プラットフォーム「GENFLUX」を開発するなど、AIセーフティーの領域で実績を持つ。
両社は今後、AIの設計段階から運用ルールの整備まで、包括的な安全対策に共同で取り組む。AlpacaTechが金融機関向けの展開や導入支援を担い、Elithが技術検証とAI安全性設計の観点から協力する体制だ。
現在は資産運用領域をメインに事業を行うFOLIOホールディングスだが、中長期的には保険や年金など、より広い金融領域に同社のノウハウや技術力を展開していく構えだ。ROBOPROで実績を積み上げ、アルクラやMixSeekで金融業務を変革する同社の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
※「ROBOPRO」は株式会社FOLIOの登録商標です。
※1 ROBOPRO運用実績について
将来の運用成果等を示唆又は保証するものではありません。サービス開始当初(2020年1月15日)から2026年1月30日まで、ROBOPROサービスに投資していた場合のパフォーマンスです。運用手数料を年率1.1%(税込)徴収し、リバランスは最適ポートフォリオとの乖離がないように実施したと仮定して計算しています。分配金は投資の拠出金銭に自動的に組み入れ、リバランスにより再投資したと仮定して計算しています。分配金やリバランス時の譲渡益に係る税金は考慮していません。年率リターンについては、同期間の日次リターンを用いて計算し、年率換算を行ったものです。幾何平均リターンを表示しています。
※2 「総取扱資産残高」について
「総取扱資産残高」とは、「FOLIOが直接お客さまに提供する投資一任運用サービスに関連してお預かりしている資産」、「銀行・証券会社等の金融機関における、4RAPを活用した投資一任運用サービスの預り資産」、「FOLIOホールディングスの子会社が投資助言業を行っている金融商品の資産」の合計金額を指します。
【金融商品取引法等に係る表示】
商号等:株式会社FOLIO
金融商品取引業者登録番号:関東財務局長(金商)第2983号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
<手数料等及びリスク情報について>
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