Shopifyの“コマース特化型AI”が実現 「エージェンティックコマース」の衝撃

消費者がAIエージェントとの対話を通じて商品を購入する「エージェンティックコマース」の潮流によって、ECビジネスは飛躍的に変化している。Shopifyは、この変化をどう捉え、どのような未来を描いているのか。中小企業から大企業まで、多くの事業者のビジネスを支援するShopifyの最新のAI戦略について、Shopify Japanカントリーマネージャーの馬場道生氏に聞いた。

PR/ITmedia
» 2026年03月05日 10時00分 公開
PR

 ECビジネスを営む多くの事業者は今、深刻な構造的課題に直面している。人材不足やレガシーシステムの老朽化、「AIネイティブ」へと急速に変化する市場環境への対応の遅れなどだ。

 ECの世界には「エージェンティックコマース」という新たな潮流が押し寄せている。これは、消費者が自ら検索エンジンで商品を探すのではなく、ChatGPTやGeminiといったAIとの対話を通じて商品の発見から比較、購入まで完結させる購買体験を指す。

 消費者の行動が「検索」から「AIとの対話」にシフトする中、事業者側にも高度なAI実装が求められているが、実態は厳しい。Shopifyの調査によると、国内EC事業者の92%がAIの導入を計画しているが、マーケティング施策にAIを活用できている事業者は30%に満たない。アジア他地域の約50%という数字と比較しても、日本の足踏みは顕著だ。

 その背景には、データ分析や最新技術を使いこなせる専門人材の不足がある。多くの現場は、消費者の変化を理解しながらも高度なAI活用を主導できる人材がいない、という構造的な限界に突き当たっている。

 この状況をテクノロジーで解決するのがShopifyだ。同社は、専門知識が必要だったデータ分析や施策立案をAIが自律的に支援する環境を整え、誰もが高度なEC運営を実現できる世界を目指している。

 同社はAI時代の新たなコマースの形をどう描いているのか。Shopify Japanのカントリーマネージャー、馬場道生氏に聞いた。

「エージェンティックコマース」が変えるECの前提

Shopify Japan カントリーマネージャー 馬場道生氏

 「消費者が『ググる』時代から、AIとの対話の中で情報を得て意思決定をする時代に変わっていく――これがエージェンティックコマースの本質です」

 消費者行動の変化は、すでに数字に表れている。2025年と比較して、AI検索経由によるShopifyオンラインストアへのアクセス数は約9倍、注文数は約14倍に増加した。AI検索経由の平均注文額は約30%増、新規顧客獲得数は約2倍になるなど、AIは重要な販売チャネルに成長している。

 2026年1月には、Shopifyが全米小売業協会(NRF)のイベントで「Universal Commerce Protocol」(UCP)を発表した。UCPはShopifyとGoogleが共同開発した、異なるプラットフォーム間でのデータ連携を可能にするオープンスタンダードだ。Shopify加盟店は、Google検索のAIモードやGeminiとの対話の中で、商品を直接販売できるようになる。今後はChatGPTなどの主要な生成AIにも同様の動きが広がるとみられる。

 「消費者の購買行動がAI経由にシフトしている以上、事業者側も変化に対応しなければ、ビジネスチャンスを根本から失うことになります」と馬場氏は警鐘を鳴らす。

 消費者の「AIエージェント」が24時間365日、膨大なデータから最適な商品を見つけ出すエージェンティックコマースの世界。そこでは、人間がAIというツールを操作するスタイルでは、AIのスピードや情報密度に同期するのは困難になる。

 今後のビジネス成長において、AIが事業者の意図をくみ取ってアクションを起こす自律型AIへのシフトが不可欠とされるのはこのためだ。人手不足に悩む事業者にとって、もはや避けては通れない生存戦略になっている。

エージェンティックコマースのイメージ(提供:Shopify)《クリックで拡大》

汎用的なAIではたどり着けない答え 「コマース特化型」の真価

 昨今、ChatGPTをはじめとする生成AIが急速に普及したが、馬場氏は「EC運営での活用において、汎用(はんよう)的なAIとShopifyのAIには決定的な違いがある」と説明する。

 「ShopifyのAIは一般的な知識はもちろん、個別のストアの在庫状況や顧客の購買傾向なども把握しています。175カ国以上の数百万の事業者と、世界人口の10%以上に相当する約8億7000万人の消費者のデータを背景に、コマースという切り口に特化して学習を重ねています。自社のビジネスを誰よりも理解している『超優秀なEC担当者』が管理画面に常駐しているようなものです」

 その象徴が、AIアシスタント「Sidekick」だ。「相棒」という意味で、自然言語で「売上を伸ばしたい」「休眠顧客を掘り起こしたい」と指示するだけで、データ分析から施策の実行まで支援する。これまで専門人材が時間をかけて行っていた業務が、非技術職の現場担当者の手で完結する。まさに、個人の能力がテクノロジーによって底上げされる時代の到来だ。

Sidekickのイメージ(提供:Shopify)《クリックで拡大》

 「Sidekickはデータサイエンティストにも、マーケターにも、グラフィックデザイナーにも、コピーライターにもなれます。一般的にAIとはArtificial Intelligence(人工知能)を意味しますが、私はSidekickをAugmented Intelligence(拡張知能)と位置付けています。人間の知能や能力を拡張し、増幅させることが深刻な人材不足を解消する鍵になると考えています」

「受け身」から「先回り」へ AIが変革する担当者の役割

 Shopifyは、AIの役割を「人間の問いかけに答える」受動的な段階から一歩先へ進めている。その核となるのが、同社が大型アップデート「Winter '26 Edition」で発表した強化機能「Sidekick Pulse」だ。

 「Sidekick Pulseは、これまでの『受け身の応答』から『先回りした提案』に進化しました。コンバージョン率が低下していると、潜在的な原因を特定して報告します。在庫切れが予測される商品を検知して、過去の販売傾向に基づいた適切な発注数を提案できます。不振商品の検知とそれに合わせた割引プロモーションの推奨、SNSや業界の検索トレンドを基にした新たな商品コレクションの作成も可能です。

 私たちが描く将来像は、AIが常に市場データや競合の動きを分析し、ストアレイアウトや価格、在庫配置を最適化する『リビング・コマースOS』です。EC担当者はルーティンワークや分析作業から解放され、より創造的なブランド体験の構築に集中できるようになります」

「試行錯誤の高速化」が最大の武器に

 AIが提案した施策を、いかにリスクなくスピーディーに実行するか。ここで威力を発揮するのが、シミュレーションツール「SimGym」と実験機能「Rollouts」だ。

 SimGymは、AIが仮想の顧客としてストアを回遊し、購入体験をシミュレートする。これによって、顧客体験上の潜在的な問題を洗い出せる。Rolloutsを使ってA/Bテストを実施することで、最適なサイト構成や顧客体験の設計が可能だ。季節ごとのセールやキャンペーンを事前に準備し、特定の日時に自動で開始させることもできる。

 非エンジニアの現場担当者が、AIによるテストやシミュレーションで失敗のリスクを事前に洗い出し、確信を持って施策を打てる。この「試行錯誤の高速化」こそが、リソースの制約がある中小企業にとっても、組織のスピードアップを目指す大企業にとっても、変化の激しい市場で成長するための最大の武器になる。

企業の「攻めのDX」を支える信頼とパートナーシップ

 AI経由の購買プロセスを最大限に活用してビジネスを拡大するためには、それを支えるプラットフォームにもこれまで以上に強固な基盤と柔軟な運用体制が求められる。

 そこで真価を発揮するのがShopifyだ。アパレル大手のTSIホールディングスは、11サイト、34ブランドをShopifyで統合し、年間5億円のコスト削減を見込む。100円ショップの「DAISO」を展開する大創産業は、ShopifyでB2BとB2Cのオペレーションを統合して売り上げを400%、トラフィックを249%増加させるなど、国内企業の実績も相次いでいる。

 事業者の信頼を支えるのが、世界水準のセキュリティとガバナンスへの対応だ。PCI DSSレベル1の準拠、SOC 2 Type IIおよびSOC 3レポートの発行に加え、GDPRやCCPAなど世界中のプライバシー法に準拠した運用が可能だ。安全性を担保しながら「攻めのIT」に転換できる土壌が整っている。

テクノロジーを味方につけ、ビジネスを加速させる

 エージェンティックコマースという巨大な波を前に、事業者は何を準備すべきなのか。馬場氏はデータ整備の重要性を強調する。

 「消費者のAIに商品を見つけてもらうためには、構造化されたデータを最新の状態に保つことが不可欠です。Shopifyは、AIが解釈しやすいデータ構造を自動的に整備します。しかし、最後に差がつくのは、そのデータの上に乗る『情報の質』です。専門性の高いコンテンツや充実したFAQの提供などによって顧客体験を向上させることが、AIに信頼されるための鍵になります」

 AIを単なる「ツール」として操作する時代は終わり、AIというパートナーと共にビジネスを共創する時代が始まる。エージェンティックコマースという巨大な波を味方につけ、自らの能力を拡張できるか。そのマインドセットの転換こそが、これからのビジネスの成否を分けるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:Shopify Japan株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2026年4月4日