VMware買収から2年、混乱の先に見えた「プライベートクラウド回帰」の勝機 AI時代の基盤戦略

「VMware Cloud Foundation 9.0」の登場で「プライベートクラウド回帰」が現実味を帯びてきた。運用自動化やTCO削減、AI基盤としての価値にも注目が集まる中、企業はどのような判断をすべきか。ヴイエムウェアとIDCフロンティアのキーパーソンに、深刻な人材不足やコスト高騰を解消する仮想化基盤の戦略を聞いた。

PR/ITmedia
» 2026年03月11日 10時00分 公開
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 BroadcomによるVMwareの買収から約2年が経過し、日本企業の仮想化基盤を取り巻く環境は大きく変わった。特にライセンス体系の変更によるインパクトは大きく、「このままVMware環境を使い続けてよいのか」「今後のIT基盤のコストや運用はどうなるのか」と不安を感じる企業は多い。

 しかし、2025年6月に最新版「VMware Cloud Foundation 9.0」(VCF 9.0)がローンチされたことで、状況はようやく落ち着きつつある。ヴイエムウェアの大平伸一氏は次のように語る。

photo ヴイエムウェアの大平伸一氏(モダンプライベートクラウド技術部 部長)

 「VCF 9.0は、買収前のVMware時代から構想してきたプライベートクラウドプラットフォームの在るべき姿を具現化したものです。明確な技術の方向性を提示したことで、お客さまからもポジティブな反応を多く頂いています。セキュリティやコンプライアンス、知的財産保護といった観点から、パブリッククラウド一辺倒ではなくオンプレミスやプライベートクラウドに回帰する動きが見られる中、重要なワークロードを信頼できる基盤で動かしたいというニーズが浮き彫りになっており、共感を得る場面が増えています」

VCF 9.0がもたらす運用効率化とコスト削減

 VCF 9.0は、コンピュート、ストレージ、ネットワーク、運用管理のソフトウェアを完全に統合することで、アップグレードプロセスの自動化や運用管理の高効率化を実現させた。これまでインフラ担当者が手作業で対応していた仮想マシンの払い出しなどをセルフポータルで実施できるようにすることで、パブリッククラウドと同様の体験を提供する。オンプレミスが得意とする制御性を生かしつつ、パブリッククラウドとプライベートクラウドの強みを持つプラットフォームだ。

 VCF 9.0は、多くの企業が直面しているITインフラの運用コスト高騰の問題にも新たな改善策を提示している。

 「VCF 9.0は、vSphereで培った高密度集約を実現させるさまざまな機能群があり、昨今のメモリ価格の高騰に対応する新機能として『Memory Tiering』を提供しています。これによって、アプリケーション特性に応じてDRAMの容量を2倍から4倍に増加させる効果を得られ、コストを最適化できます。データ保管の観点では複数クラスタにまたがるvSAN ESAのグローバル重複排除技術により、効率的なデータ保管を実現します」

 特筆すべきは、慢性的なエンジニア不足という問題に対しても解決の道筋を示している点だ。

 「ライフサイクル管理機能を強化したVCF 9.0は、ハイパーバイザーのバージョンアップを含めた自動化を推進しています。仮想マシンの退避作業をしなくてもパッチ適用が可能な『LivePatch』という機能も用意しており、深夜や休日の作業工数を削減できます。1万台を超える仮想マシンを、わずか数人で運用管理しているお客さまもいらっしゃいます」

 ハイパーバイザーのライセンス費という側面だけでなく、ハードウェアの初期投資や維持管理、インフラ運用担当者の人件費まで含めたTCO(総所有コスト)を評価した上で、どの仮想化基盤を選択するのか判断することが重要だ。

IDCフロンティアが提示する3つの移行パターン

 データセンター事業、クラウド事業、ホスティングサービスなどのデジタルインフラサービスを展開しているIDCフロンティアも、Broadcomのこうした取り組みを高く評価している。

photo IDCフロンティアの藤城拓哉氏(クラウド統括本部 技術企画本部 事業推進部)

 IDCフロンティアの藤城拓哉氏は「ITインフラにとって最重要の要件は安定性です。その点、VMware製品は多くの企業で長期にわたって運用を支えてきた実績があります。性能面でも優れており、仮想化によるオーバーヘッドが少ないだけでなくライブマイグレーションの速度やサービスへの影響がほとんどない点も魅力です。こうした運用まで含めたトータルコストやコストパフォーマンスを考慮したとき、やはりVMware製品には一日の長があります」と語る。

 VMwareを巡る環境の変化を機に、企業は仮想化基盤の在り方を改めて問い直した。こうした中で運用負荷をオフロードし、コスト最適化を図るデジタルインフラサービスへの期待が高まっている。

 「最近は、オンプレミスで運用してきたVMware環境の移行先としてわれわれのクラウドサービスを利用したいという相談が増えています。インフラ運用の人材不足も深刻化しており、これまで内製で対応してきた多くの作業負担をオフロード、アウトソースする利点が認識されつつあります」(藤城氏)

 このようなニーズに応えるために、IDCフロンティアは以下の3パターンに基づいて、オンプレミス環境で運用してきたVMware環境のクラウド移行をサポートしている。

IDCFクラウド(パブリッククラウド)への移行

仮想マシン単位の従量課金で利用できる点が特徴。マネージドサービスも充実しており、クラウド化へのステップを踏みやすい。オンプレミスと同じVMware基盤を採用しているため、OVAテンプレートの移行やバックアップ/リストアの移行にも柔軟に対応できる。

IDCFプライベートクラウドへの移行

IDCフロンティアがVMware環境を運用する専有環境であることから、オンプレミスと同等のセキュリティやコンプライアンスを維持できる。「ハードウェア構成にもよりますが、『Cross vCenter vMotion』で移行したいといった相談にも対応しています」(藤城氏)

データセンターとのハイブリッド利用による段階的なクラウド移行

IDCフロンティアは、データセンター事業のコロケーションサービスとクラウドをL2またはL3で接続するネットワークサービスを提供している。移行が困難な既存資産を抱えている場合も、まずはクラウドのメリットを生かしながらオンプレミス環境を維持するハイブリッド運用を選択して、段階的にクラウドに移行できる。

photo 3つの移行パターン(提供:IDCフロンティア)《クリックで拡大》

協業から浮かび上がる「プライベートAI」の未来

 IDCフロンティアとBroadcomの協業は2010年に始まり、15年以上の歴史を重ねてきた。この実績をベースに、両社のパートナーシップはさらに広範な領域に拡大するという。

 「数あるクラウドパートナーの中でもIDCフロンティアは、大規模なデータセンターを東西で展開するとともに国産クラウドサービス『IDCFクラウド』を長年運用してきた実績があります。直近はコンピューティングプラットフォームサービス『OCF(OCX Compute Fabric)』を開始し、全国のデータセンター事業者とも連携した地域分散型の提供体制を確立しています。こうした豊富なサービス基盤を活用することで、オンプレミスのVMware環境からクラウドへの移行が、より容易に実現できるようになるといった強みが生まれると期待しています」(大平氏)

 全国に分散したデータセンターは、VMware環境間ならではの移行のしやすさに加えて、中小企業にとっても現実的なソリューションとなるに違いない。

photo データセンターやクラウドを提供(提供:IDCフロンティア)《クリックで拡大》

 Broadcomは、自然災害発生時における事業継続性の確保やランサムウェアへの対策といった課題に対して、「VMware Live Site Recovery」や「VMware Live Cyber Recovery」を提供している。

 「BC(業務継続)/DR(災害復旧)は、自分たちで実施しようとしてもうまく機能しないことが多いだけに、IDCフロンティアのマネージドサービスに頼ることも有効な選択肢になるでしょう」(大平氏)

 藤城氏も「Broadcomと毎週の定例会を通じて技術情報を共有している他、TAM(Technical Account Manager)やPSO(Professional Services Organization)によるコンサルティングやサポートの連携を深めています」と続ける。

 両社が見据えるのが、「プライベートAI」の未来だ。

 大平氏は「VCF 9.0は『プライベートAI』という機能を標準で提供しているので、GPUリソース管理を含めた生成AIサービスの基盤としても活用していただけます。将来的には、IDCFプライベートクラウドにおけるAIサービスの提供なども十分に可能性はあると考えています」と今後の展開に期待を寄せる。

 藤城氏も「機密データや知的財産情報を社外に出さずにAIを安全に活用できるITインフラを強化したい、というニーズの高まりを私たちも感じています」と前向きな意向を示す。

 VCF 9.0を中心とした先進技術を用いた運用効率化とTCO削減、国産プライベートクラウドの信頼性と安定性、事業継続性の高さは、中堅・中小企業を含めたユーザーにとって欠かせない要件だ。ITインフラに課題がある企業にとって、両社の協業がもたらす価値はさらに高まるだろう。

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