News:ニュース速報 2001年2月13日 06:01 更新

ときメモ“いきなりエンディング”データはやっぱり違法──最高裁判決

 プレイステーション用ゲームソフト「ときめきメモリアル」(ときメモ)のストーリーを変えられるデータを販売されて著作権を侵害されたとして,コナミが福岡市内のゲーム機器販売業者に損害賠償などを求めていた訴訟で,最高裁は2月13日,コナミの訴えを認め,販売業者の上告を棄却する判決を言い渡した。

 ゲームプログラムを直接手を加えなくても,第三者が作成した,普通のプレイではありえないようなデータの販売もゲームソフトの「改変」に当たるとの判断が確定した。今後,こうしたデータの販売やインターネット配信は違法と認められる可能性が高い。

 同訴訟は1996年11月,ゲーム機器販売業者がときメモの主人公の能力値を大幅に高めたデータを収録したPS用メモリーカードを輸入・販売したゲーム機器販売業者に対し,コナミが「キャラクターを無断複製した上,プレイヤーが演じる平凡な男子高校生の能力値を,通常のプレイでは得られない極めて高い能力値に改変した結果,ストーリーを改変し,著作権が侵害された」として,販売業者に対し約1000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて大阪地裁に提訴した。

 1997年11月の一審判決は著作権侵害を認めず,コナミは大阪高裁に控訴。1999年4月の二審判決は,ゲームソフトが「映画の著作物」であると同時に「プログラムの著作物」でもあり,両者が複合した著作物であると指摘。ときメモの重要要素である主人公の人物像と本来の高校3年間を短縮してしまうという「時間的要素の改変」がストーリーを改変しており,著作権を侵害したと認め,約114万円の賠償を販売業者に命じた。販売業者はこれを不服として上告していた。

 最高裁はまず,ゲームソフトが複合的な著作物である点について二審判決をそのまま支持し,審理対象から外した。その上で判決では,ときメモにおける主人公のパラメータが「それによって主人公の人物像を表現するもので,その変化に応じてストーリーが展開されるもの」と著作権を構成する一部であると認めた。その上で同メモリーカードのデータで展開されるストーリーが「本来予定された範囲を超え」た「ストーリーの改変」と認定。同メモリーカードを意図的に輸入・販売した販売業者に著作権侵害を認め,損害賠償を命じた二審判決を支持,販売業者の上告を棄却した。

 判決についてコナミは「初期設定入力データや操作データがソフトのストーリー展開で果たす機能が正しく認められた。デジタル著作物としてのゲームソフト保護に向け重要な意義がある」と評価している。

 問題のメモリーカードは,あまりに能力値が高いために超速攻で好みのコのエンディングを迎えられてしまうといういかにもな代物だった。「プレイヤー自身が主人公として『きらめき高校』の男子生徒となり,憧れの女子生徒を選び,入学から卒業までの高校3年間の間に,様々な出来事,行事等を等して,憧れの女生徒にふさわしい能力を備えるための努力を積み重ねて,卒業式の当日,伝説の樹の下でこの女性から愛の告白を受けることを目指す」(コナミ)というときメモの趣旨から外れているのは間違いなかった。オタク的スーパーマン妄想は否定され,やはり努力が報われるという現実世界の論理が勝利した──と言えないでもない。

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