News:ニュース速報 | 2001年9月6日 06:29 PM 更新 |
ガートナージャパンは9月6日,米Hewlett-Packardによる米Compaq Computerの買収についての見解を発表した。
まずHPの事業領域が多岐にわたることから,「その影響は一様ではなく,総合的な戦略についても明確さを欠く」と指摘した上で,「HPとCompaqは,総合力で勝負するIBMと,スピードと特定分野への特化で勝負するSun MicrosystemsやDell Computer,EMCなどの狭間で苦慮していた。買収について,PC事業でDellに対抗するためとの見方が多いが,真のターゲットはIBM」と見ている。また「独禁法や株主の承認などの不確定要素が残り,最終的に買収が成功しない可能性もやや高い」としている。
両社の短期的な戦略はサーバ事業の地位の確保,長期的にはIBMを意識したソフト/サービス事業の基盤作り。ただ「ソフト/サービス事業では両社とも後発なため,買収で補完的な関係を築いて優位性を獲得できるかは疑問」とした上で,HPはさらに大規模な提携や買収を実施する可能性が高いと予測した。
PCではDellとの価格競争でかなりの苦戦を強いられるとした。ただストレージとプリンタ事業では,チャネル戦略と製品ラインアップを整備すれば両社のシナジーが期待できると分析している。
国内市場はどうか。国内サーバ市場のシェアは日本ヒューレット・パッカードが4位,コンパックコンピュータが5位だが,買収によってNECを抜いて一気にトップに立つ。
PC市場では2001年第2四半期,法人市場の両社合計シェアは9.1%で4位。両社の顧客が重複しないためシナジーが期待できるが,日本市場のニーズに合った製品ラインアップの変更が行われるとは限らず,その場合はシェアを減らす可能性があるという。また個人向けの同期シェア合計は3.0%で9位と,現在のコンパックと変わらない。法人と個人を合わせた両社の合計シェアは5.8%で6位。
国内ストレージ市場では,2000年のオープンシステム向けディスクアレイではコンパックが4位,日本HPが9位。シェア合計では13.7%になり,日立とEMCに次いで3位に浮上する。オープン系ストレージではHPが重要なベンダーになる可能性があるが,両社の製品に重複が多い上,製品群に互換性がない点も課題としている。
プリンタでは,国内でコンパックがプリンタ販売を手がけていないこともあり,影響は少ないと見ている。ただコンパックのチャネルで販売しているPCと日本HPのプリンタをシステム販売できればシェア拡大につながるとしている。
国内サービス市場では,買収後も中堅規模にとどまる。保守サービスでは顧客拡大のスケールメリットを生かせる可能性があるが,保守市場は伸びが鈍化している点がネック。また開発から運用まで一貫して手がけるフルアウトソーシングサービス分野では両社ともに認知度が低いため,直接の強化にはつながらないと分析。IBMに対抗しうる総合サービスプロバイダを目指すのであれば,日本HPは大手SIらとの協業や提携を拡大する必要があると指摘した。
関連リンク
ガートナージャパン
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.