News:ニュース速報 2001年10月29日 08:39 PM 更新

沖電気,110GHz動作の高周波トランジスタを開発

 沖電気工業は10月29日,最大110GHzで動作する高増幅高周波トランジスタの開発に成功したと発表した。モバイル端末でマルチメディアデータを処理する際に威力を発揮し,2年後の商品化を目指す。

 沖電気が開発したのは,窒化ガリウム系の高電子移動度トランジスタ(GaN-HEMT)で,FETの1種。最新の電子ビームロコ右方を利用してゲート長を0.21μメートルに微細化,FET上部のゲート断面をT型にした上で長さを2μメートル程度にすることで低抵抗化。またゲートを凹部に形成する「リセス構造」を採用,トランジスタの寄生抵抗を減らして増幅特性と高周波特性を向上させた。これらにより電流遮断周波数60GHzの高周波特性と,素子としての最大動作周波数119GHz,相互コンダクタンス250ミリジーメンス/ミリメートルを達成した。

 モバイル端末を利用したマルチメディアサービスの成長が見込まれおり,無線アクセスネットワークの大容量化が要求されている。ただ高速通信のためには高周波性と大出力動作が可能な無線デバイスが必要。GaN-HEMTはガリウムヒ素系(GaAs)系FETに比べて小型化と10倍程度の高出力化が期待できるが,窒化ガリウムを使用した素子構造と製造技術の開発が難しかった。

 沖電気はマイクロ波・ミリ波領域の高出力・超高周波増幅器市場は2年後には4000億円になると見込んでおり,新開発のトランジスタでシェア10%獲得を目指す。新技術は,29日からつくば市で始まった「ICSCRM2001」(シリコンカーバイドと関連材料に関する国際会議)で発表する。

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