News:ニュース速報 | 2002年4月5日 04:19 PM 更新 |
独立行政法人の産業技術総合研究所は4月4日,4ボルトで動作するフィールドエミッタの試作に成功したと発表した。カーボンナノチューブを利用したもの。次世代ディスプレイ・FED(フィールドエミッションディスプレイ)を大幅な低消費電力化でき,携帯機器向けの応用に貢献できるとしている。
FEDは,フィールドエミッタ(先端をとがらせたシリコンや金属)に強い電解を印可して電子を放出させ,蛍光面に電子を当てることで光らせ,画像を表示するディスプレイ。厚さ1センチ程度の超薄型TVなどへの応用が期待されている。
従来の製法では,フィールドエミッタの先端サイズを20ナノ〜30ナノメートル以下にするのが難しく,電子を放出するには100ボルト以上の電圧が必要。カーボンナノチューブをエミッタに使用する方法は考案されていたが,形成位置の制御が困難で,やはり高電圧をかける必要だった。
これに対し産総研ナノテクノロジー研究部門は,シリコンチップ先端にカーボンナノチューブを成長させる技術を開発。さらに電子を放出しやすいよう「グリッド電極」を近接して形成する技術も考案した。これにより従来の1/100〜1/10と大幅な低電圧で動作するフィールドエミッタを実現した。
従来型FEDでは高電圧が必要なため携帯機器への搭載は不可能だったが,新技術を活用すれば電池で長時間駆動できる携帯用FED機器が実現できる。
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