News:ニュース速報 2002年4月25日 09:21 PM 更新

シャープ,次世代液晶と携帯を軸に経常利益4割増へ

 シャープは4月25日,2002年3月期決算を発表した。前期は業績が悪化したものの,今期は景気が回復すると予測。次世代液晶事業や携帯電話端末事業などで事業を拡大するとともに,一層のコスト削減を図るとしている。

 前期は,売上高が1兆8038億円(前期比10.4%減),営業利益は736億円(同30.5%減),当期純利益は113億円(同70.6%減)だった。

 同社は前期,液晶カラーテレビ「AQUOS」をはじめ,1ビットアンプとDVDを搭載したホームシアターシステム「Auvi」,薄型・軽量ノートPC「MURAMASA」,TFT液晶/カメラ搭載携帯端末など独自性を重視した製品を投入した。

 しかし,米国をはじめとする世界経済の不振や,国内の個人消費の低迷などが業績の足を引っ張ったほか,株式市場の低迷による投資売却損/評価損を計上したことから,当期純利益は大幅に減少した。

 事業分野別の売上で見ると,AV/通信機器部門は液晶カラーテレビや携帯端末などが好調に推移し,前期比2.9%増だった。

 だが,エアコンや洗濯機などの電化機器部門で,家電リサイクル法に伴う駆け込み需要の反動や暖冬が影響し,売上が前期比6.6%減となったほか,情報機器部門でもPCの不振が影響し,売上は前期比3.5%減と,業績が大幅に悪化した。

 液晶部門も大型TFT液晶ディスプレイの価格下落や携帯電話向けの需要低下が影響し,売上は前期比で30.2%減少した。またIC部門でも,フラッシュメモリ事業の業績が悪化し,売上は前期比35.7%減となった。

 しかし同社は今期について,国内の景気に底入れ感が見られるほか,米国経済も回復に転じ,業績は拡大すると予測している。

 同社は,液晶パネルにドライバやコントローラなどを集積した「システム液晶」の量産を始めるほか,今後も携帯電話端末や白物家電分野で独自性のある製品を投入,事業拡大を目指すとしている。また需要の拡大が見込まれるCCDやCMOSセンサー,液晶用LSI,太陽電池事業でも事業を強化する。

 こうした取り組みに加えて,今後もさらにコスト削減を押し進め,今期は連結売上高を2兆円(前期比11%増),経常利益を680億円(同39%増),当期純利益を370億円(同約3倍)と予測している。

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