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自分の手でネットを“進化”させたい――「はてな」社長の夢(2/2 ページ)

「インターネットは、人が本来持っている力を飛躍的に伸ばせる可能性を持った未完成の道具。この道具を進化させ、人間の生活を豊かにしたい」――そんな思いが「はてな」を生んだ。

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経費はかかっても、ユーザーは多ければ多いほどいい

 ダイアリー、アンテナとの相乗効果で、人力検索サイトを含む全体のユーザー数は9万1538人(2004年4月16日現在)にふくらんだ。ただ無料サービスが多いため採算は厳しく、運営費はシステムの受託開発で何とかまかなってきた。「去年の暮れごろから、『はてなポイント』(人力検索の質問などに使える通貨。1ポイント1円)の購入者が増えたのと、Googleの広告サービス『アドセンス』を導入したため収入が少し増えた」と、近藤社長はほっとした表情だ。

 ユーザーが増えるとサーバの増強も必要。経費はかさむばかりだが、それでもユーザーは多い方がいいという。「自分がいいと思ったサービスはたくさんの人に使ってもらいたい。どんなすばらしいアイデアも、たくさんの人が実際に使ってくれないと意味がないし、多くの人に使ってもらえば、そこに新しいコミュニケーションやビジネスモデルも生まれる」(近藤社長)。

 実際、開始当初には想定していなかった使い方も現れている。例えばはてなダイアリーでは、キーワードで日記同士を繋ぐ機能を生かし、短歌や写真を見せ合う「短歌日記クラブ」や「写真日記クラブ」ができた。またアドセンスは質問内容に関連する広告を人力検索サイト上に自動的に掲載してくれるため、広告自体が質問の答えになっていることも多く、クリックされやすいという。

死ぬときに自慢できる成果を残したい

 「インターネットは、人が本来持っている力を飛躍的に伸ばせる可能性を持った未完成の道具」――これが近藤社長の持論だ。京大在学中にはサイクリング部と自転車競技部に所属。無類の自転車好きである近藤社長は、ネットを自転車に例えてそのココロを解説する。

 「自転車、特にロードレーサーは、人が本来持っている“空間を移動する力”を限界まで伸ばして最速で走れる完成された道具。ネットも、人間がもともと持っている考える力や知的な力を、飛躍的に伸ばす可能性を持った道具だ。ただし完成形には程遠く、これからまだまだ進化する」。

 「ロードレーサーが、ギアの機構などを進化させて完成形に近づいていったように、ネットが道具として完成していく過程で、エポックメイキングな進化がたくさんあるだろう。キーワードで日記をつなぐというシステムも進化の一つ。こういった進化を自分の力で世の中に残すことができれば、これほど嬉しいことはない」。

 「例えば、1億円稼いだとか、いい車を乗り回しているとか、そういうことは死ぬ時の自慢にはならない。でも『インターネットでたくさんの人が当たり前のように使っているあのサービス、実は僕が考えたんだ』と言えたら、それは死ぬときに自慢できる。そういうものをたくさん作りたい」。

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