富士通研究所は6月8日、セマンティックWeb技術を使い、情報機器を簡単な操作で連携動作させる技術を開発したと発表した。同社によると、セマンティックWeb技術を機器連携に使ったのは世界初。
新技術は「Task Computing」。米国法人のFujitsu Laboratories of Americaと共同開発した。
Task Computingでは、「画像を送る」「音楽ファイルを再生する」といった機器の機能の意味自体を「セマンティックサービス」として仮想化。機器自身に判断させることで、ユーザーは機器間の接続を意識せずに利用できるという。
また機器の連携機能と機器の本来の機能を分離することで、連携させる機器以外の端末からネットワーク経由で連携指示を出すこともできる。また将来登場する未知の機器との連携を指示することも可能という。
同技術を使うと、例えばPDAを持ってプレゼンテーションルームに入ると、利用可能な機器を自動認識。別のPC内のプレゼンテーション資料をPDPに表示したり、音楽ファイルを部屋のスピーカーで再生するといった、実行可能な機器連携がPDAに表示される。ユーザーは行いたい連携を選べば連携が実行できるという。
技術はマサチューセッツ工科大学などに公開し、共同研究を進める。今後はアクセス技術などのセキュリティ技術を導入、2005年ごろの実用化を目指す。またセマンティックサービスに基づく機器連携の標準化活動も進める。
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