「今や、携帯電話でミシンも売れる」――ネットプライスの佐藤輝英社長は、携帯ECは流通業として確固たる地位を築き始めたと話す。
同社は携帯電話向けに28のECサイトを運営。購入希望者が増えるほど値段が安くなる共同購入システム「ギャザリング」を採用しているのが特徴だ。受注期間を1週間に限り、受注した数だけ問屋やメーカーに発注するため、在庫ロスがないのが強みだ。
2003年度は72億円を売り上げ、今年7月に東証マザーズ上場も果たした。だが1999年の創業当時は携帯電話で物が売れるとはなかなか信じてもらえず、取引先の信頼を得るのに苦労したという。地道に実績を積み上げるうちに取引先数は増え、2002年第2四半期には11社だった取引先は、今年12月には約500社になった。
以前は考えられなかった商品も売れ出した。洋服やブランド物、カー用品、ペット用品からミシンまで、ありとあらゆる物が売れているという。「実店舗にあるものは何でも売れる」(佐藤社長)。今後は、自動車など高額な商品も取り扱いたいと意気込む。
同社の1カ月あたりのユニークユーザーは約14万5000人。1カ月の平均購入回数は約2.8回で、「来店頻度は『楽天』の1.5倍」(佐藤社長)。1回あたりの平均買い物額は約5000円だが、年間数百万円を使うユーザーも複数いるという。
ユーザーからは、「こんな商品を売って欲しい」というリクエストが月約4000件届く。ユーザーの声を参考にしてラインアップを拡充。確実にニーズのある商品を取り扱いながら、リピート率を高めている。
3G化で一番トクしたのは携帯EC?
「3G化の恩恵を一番受けているのは我々かもしれない」(佐藤社長)。NTTドコモがFOMA900iシリーズを発売した今年2月以降、FOMAからのアクセスが急増した。今年1月時点では、ドコモ端末からのアクセスの約15%がFOMAからだったが、これが10月には5割を超えた。
NTTドコモのFOMA契約者の割合は、1月時点で4.4%、10月時点で14.9%。FOMAユーザーの伸びをはるかにしのぐスピードで、ECサイトユーザーのFOMA化が進んでいる。
FOMAなどの3G携帯は、標準パケット料金がPDCより安価なため、ECサイトも気軽に見てもらえると佐藤社長は分析する。各社がパケット定額制を導入したことも追い風だという。
3G携帯なら通信速度も速く、画像のダウンロードも高速だ。同社は、3G向けサイトには、PDC向けよりも高解像度な商品画像や、動画による商品説明を掲載し、商品の魅力をアピールする。
メディアミックスを強化
今後は、TVやラジオ、雑誌など既存メディアとの連携を強め、ユーザーを増やす計画だ。今年9月からは、ニッポン放送と提携し、ラジオ番組中で商品を紹介。「ザテレビジョン」(角川書店)や「R25」(リクルート)など雑誌にも商品情報を掲載し、紙媒体との連携も強めている(関連記事参照)。
来年1月からは、複数商品を同時購入できる「買い物かご」を導入。買い物ごとに1%のポイントが付くポイント制も採用するなどシステムも改良し、売り上げアップを目指す。
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