「おとくライン」のバックボーン、総IP化へ
ソフトバンクの孫社長は、「おとくライン」のバックボーンを総IP化する方針。おとくライン事業は今年度中にも単月黒字化する見込みという。
ソフトバンクの孫正義社長は5月10日の決算発表会で、日本テレコムの直収型固定電話サービス「おとくライン」のバックボーン回線を総IP化する方針を明らかにした。孫社長は「アナログ回線に全く興味はない」と言い切り、「おとくラインのバックボーンは、すべてIPに抜けるようになっている」と明かした。
おとくラインがアナログ回線でスタートしたのは「法人向けや付加サービスを含め、NTTに負けない品質を提供する」ため。サービスが安定してきたため、「じっくりとIP化する」方針だが「『“即刻”IP化する』と言っていたKDDI(の『メタルプラス』)よりも早くIP化できるだろう」。KDDIは2007年度末までをめどに固定電話網をIP化すると表明している。
おとくラインの開通数は4月末時点で44万回線。「スムーズに立ち上がった」と孫社長は手応えを感じている。開通後に解約した回線数(開通数に含まず)は1万1000という。
前回の決算発表会で孫社長は、「NTT回線の解約手続きが複雑すぎるため、申し込みユーザーの半数が開通をあきらめてしまう」と話していたが、この状況は変わっていないという。「NTT回線を契約した名義人を、おじいさんの代までさかのぼって探し当てねば解約できない。潜水艦ゲームのようだ」。
おとくラインは今年度中、遅くとも来年度早い時期には単月黒字化できる見通しという。「ADSLは手応えを感じるまでに2年かかり、赤字がどんどん増えていったが、おとくラインはADSLでの経験が生きた」。
2004年度第4四半期(1〜3月)のおとくライン向け投資(顧客獲得コスト+設備投資+NTT局舎利用料)は約230億円。同社は同期の連結決算で110億円の営業赤字を計上したが、おとくラインへの先行投資分を除くと黒字になるという。
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