検索
ニュース

「Blogがすべてだった」――20歳ガングロ社長の“ギャル革命”ITは、いま──個人論(2/4 ページ)

「ギャルだって頑張れば、デッカイことができるんだ!」――ギャル社長Blog「ギャルの革命」が人気だ。起業したガングロギャルが、長い爪をキーボードの隙間に挟みながつづるBlog。素直でパワフルな文章が、ギャルやオヤジを惹きつける。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

「ふざけんなクソアマっ!」

 ある日の電車の中。日サロで焼いた肌にミニスカート、ギャルメイクという格好で友達とケータイメールを見ていたら、座っていたおじさんから「ふざけんな!クソアマっ!」といきなり怒鳴られた。「ケータイで写メ見てただけなのに」。しかし逆らうと面倒と思い、ケータイをしまっておとなしくしていた。

 次の駅。まじめそうな女子高生が乗り込んできて、おじさんの前に立った。おもむろにケータイを取り出し、通話を始めた。「今度はなんて怒られるんだろうってドキドキした」。でもおじさんは、ガングロでもミニスカートでもギャルメイクでもない彼女には、何も言わなかった。見た目だけで判断された」――悔しかった。

 似たようなことは何度もあった。自転車に乗っていたら「その自転車、盗んだんだろ」と警察に止められたり、友人のモデルが、事務所のスタッフに少し意見したら「お前らバカギャルは、言うことを聞いていればいいんだよ!」と言われたり……。

 「ギャルだからってバカにすんなコラっ!。何かデッカイことをやって、ギャルもやればできるんだって証明してやる」――昨年10月。“ギャル革命”を思い立った。世の中の意識を、変えてやりたかった。

 デッカイ仕事をしようにも、ギャルは就職すらままならない。「ギャルって、ちゃんと働けなさそうと思われる。見た目だけで判断されて面接落ちることもあるし」。それなら、自分が働ける場所を自分で作っちゃった方が早いんじゃないか――そう考えた。「ギャルが会社作って、それで夢を叶えて社会に認められたらスゴくねぇ? みたいな」。歌手になるのが夢の志穂さん。自分の会社でCDを出そうと思い立った。

 その日から、走り出した。起業のハウツー本を読んだり、起業家社長を紹介してもらって話を聞いたり――会社設立の準備に駆け回った。バイトで貯めた150万円と、親や支援者から借りたお金、合計300万円を資本金に、4月3日、「シホ有限会社G-Revo」を設立。起業を決めてから半年の早業だった。

 「ギャル革命」をできるだけたくさんの人に広めたい――Blogを始めたのはそんな思いからだった。ちょうどネットが“流行ってる”と感じていたころ。「電車男とかもインターネットじゃないですか。ヤッベー、すげぇなインターネットって。私も書いたら流行るんじゃねぇ? って」

 実は以前、Webサイトを作ろうとして、挫折したことがあった。高校時代、Gacktが持っていたPowerBookにあこがれ、バイト代を貯めてPowerBookを買った。友人のサイトを見て、サイト作りを試してみたが「ぜんぜん、ワケわからず」ギブアップした。「ホームページだと色々更新しなきゃいけないのが難しくて。でもBlogってただの日記みたいな感じ? これだったら私でもできそう」

 文章を書くのは苦手。記事1つ書くのに、1時間はかかる。「言葉、ぜんぜん知らないし」。キーボードを叩くのも遅いから、余計に時間を食う。長い爪のせいで、違うキー叩いてしまったり、キーの隙間に爪がハマってしまうことも。

 だから記事の下書きはケータイでする。指の腹で打てるから、ミスタイプがないという。

 試行錯誤した文章を、やっとの思いでBlogにアップ。「ギャルのイメージ改革、したいんです」「今日はこんな人に会って、こんなことを教えてもらった。すっごく勉強になった」「こんなことに感動した、泣いてしまった」――飾らない言葉と行動力、走り続け、転んでもすぐに起き上がる若さがたくさんの人の心を打ち、コメントに形を変えて志穂さんを励ます。「すごいね」「頑張って」「応援してます」「元気をもらいました」――志穂さんはその1つ1つに、時間をかけてレスを返す。「元気をもらったっていうコメントに、私自身が一番元気をもらってます」

 他のBlogへのリンクの張り方や、文字の大きさの変え方、Blogランキングに参加の仕方も、コメントを通じて知った。プレーンテキストだけだった志穂さんのBlogは、次第に太字や大文字、色つき文字、リンクが入るようになる。ランキングは常に上位。ギャル革命Blogは、志穂さんと一緒に進化し、成長を続ける。

渋谷でギャルに声をかけまくり、1000人のメアドをゲット

 Blogを読まないギャル達にもギャル革命を伝えたい――そう考えた志穂さんは、メルマガ発行を思い立った。

 しかしどうすればメルマガを発行できるか分からない。「とりあえずメアドを集めればいいんじゃね? ってコトになって」、応援してくれるギャル集団「黒団」と一緒に、1月ごろから渋谷の街でメアド収集を始めた。

 「ねぇねぇ、私、会社起こそうと思って。メアド教えて!」――そんな調子で、ギャルに声をかけまくる。「多分、みんな訳も分からず教えてくれた」――勇気を出して声をかけると、8割がメアドを教えてくれた。教えてくれるだけでなく、メアド集めを手伝いたいと言ってくれるギャルもいた。

 2カ月あまりで1000のアドレスが集まった。Blog経由で知ったり、いろんな場所で配ったチラシを見て興味を持った人が登録してくれ、会員数は獲得目標の1万人に近づきつつあるという。


手作りのチラシ。「CDのジャケットで使わなかったカットを流用してるから、安くでできました」

初めてのCD、8分で500枚売れる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る