東北大学電気通信研究所などの産学連携プロジェクトはこのほど、容量が10Gバイト相当の1インチHDDの試作に成功した。垂直磁気記録方式を使った超小型HDDとしては初だとしている。
試作品の記録密度は138Gビット/平方インチ。1インチHDDとしては世界最高を達成した。現在販売されている1インチHDDの容量は最高で6Gバイト(関連記事参照)。
垂直磁気記録方式は、HDDの記録密度を高め、大容量化する技術。1977年に東北大の岩崎俊一名誉教授が基本原理を提唱し、一部製品で実用化が始まっている(関連記事参照)。
プロジェクトは、試作HDDの小型・大容量を活かしたアプリケーションとして「ユビキタス・パーソナル・サーバ」も試作した。ハイビジョン映像転送も可能ながら手軽に持ち運びできる大きさで、ワイヤレスでPCとデータ送受信が行え、大型テレビでハイビジョン映像を再生して楽しめるという。高品位画像のモバイル再生や、高精細医療画像といった幅広い用途が期待できるという。
試作品の開発は文部科学省が同研究所に委託したプロジェクトの成果。プロジェクトは2002年度から5カ年の予定で、1Tビット/平方インチの記録密度を達成する要素技術の開発を目指している。同研究所と、日立製作所、日立グローバルストレージテクノロジーズ、東芝、富士通、富士電機ホールディングス、三菱総合研究所の6社が参加している。
1インチで10GバイトのHDDは、NHKとソニーが共同開発したことを5月に明らかにしている(関連記事参照)。
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