機内でも“テレビとネットの融合”
飛行機に持ち込んだPCでテレビ番組をリアルタイム視聴できるシステムをBoeingが提供している。VODや音楽ダウンロードも可能になる予定だ。
米Boeingが展開する航空機内ネット接続サービス「Connexion By Boeing」は、機内に持ち込んだPCでテレビ番組をリアルタイム視聴できるサービスをこのほど始めた。今後は、ビデオオンデマンド(VOD)や音楽のダウンロード配信も機内で可能になる予定だ。
Connexion By Boeingは、全日本空輸、日本航空、ルフトハンザ航空など13の航空会社の機内で、無線・有線によるネット接続環境を提供している。1日あたりのネット対応機フライト数は世界で130〜150。同社が機内にアンテナやルーターなどを設置し、衛星を経由して地上の基地局と通信する仕組みだ。
機内ネット接続サービスは7月から、地上ニュースのリアルタイム視聴に対応した(関連記事参照)。「CNBC」や「BBC World」など4局のニュースを配信中だ。2006年半ばには、座席の背に設置した個人向けエンターテインメントディスプレイ「IFE」(In-Flight Entertainment)にもテレビ番組を配信する考え。松下電器産業などIFEのハードメーカーと協力して機器を開発中という。
今後は、視聴可能なチャンネル数を増やす方針。日本上空を飛行中は日本の放送を流すなど、ローカルチャンネルへの対応も検討している。また、機内に音楽サーバやビデオサーバを設置し、視聴したいコンテンツをオンデマンド配信するサービスも行う予定だ。ゲームコンテンツも提供する。
同社の航空機無線LAN利用者アンケートより。利用者の平均フライト数は年間27回。利用者を4つの属性――新しもの好きで仕事にIT機器を生かす「Techies」、エンターテインメントコンテンツを好むネット好き「iLifestylers」、飛行中には仕事のことは忘れていたい出張族「Buisiness Basics」、レジャー旅行の「Watch’n Takers」――に分けたところ、日本だけiLifestylersが飛び抜けて多かった
また、機内で病人が出た際、地上の病院と通信して医師の指示をあおぐサービスや、航空機の状態を地上にリアルタイム通信するサービスなど、ネット接続機能を生かしたサービスはさまざまな可能性を秘めているという。
Connexion By Boeingは今後、船舶にも対応していく予定だ。
機内で携帯、3つのハードルを越え実用化へ
同社は、衛星経由で航空機から携帯電話を利用する実験も進めている(関連記事参照)。まずはGSM圏からサービスを開始し、順次3Gに対応していく。
サービス開始には各国の規制当局の認可が必要。認可が下りた地域から随時導入していく方針で、来年半ばまでにまず欧州で開始し、再来年には米国やアジアでも始める予定だ。
乗客が電話で自由に話せるようになると、周囲の乗客に迷惑がかかる恐れがある。同社は、就寝時間には音声通信ができない設定にするといった対策を考えている。
電波による機器への悪影響を心配する乗客もいるが、同社の実験では、問題なく通信できているという。今後は安全性をアピールしつつ、実用化につなげる。
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