日立新社長に古川氏、「次世代をインスパイアしたい」
日立製作所の社長が交代する。2006年4月に新社長に就任する古川一夫氏(現執行役副社長で情報・通信グループ長&CEO)は「次世代をインスパイアしたい」と意気込みを述べた。
日立製作所は12月15日、執行役副社長で情報・通信グループ長&CEOの古川一夫氏(59)が2006年4月1日付で代表執行役執行役社長に就任する人事を発表した。現社長の庄山悦彦氏(69)は取締役代表執行役執行役会長に就き、グループ全体の事業方針を担当する。会見した古川氏は「改革に対する意気込みだけは人に負けないという思いがある。次世代をインスパイアしたい」と社長就任の思いを述べた。
庄山氏は「日立の事業改革は道半ば。さらなる改革を急ピッチで進めるには私よりも若く、改革の意欲がある古川氏が先頭に立つことが必要と判断した」と古川氏を選んだ理由を説明。さらに「古川氏は日立のIPネットワーク事業を立ち上げ、日立の中核にまで育てた」と評価した。
数日前に庄山氏に社長就任を告げられたという古川氏は、「現在、日立が置かれている状況は大きく変化し、グローバル市場の中で世界のライバルとしのぎを削っている。競争の中で失敗があるかもしれないが、その失敗に誠意を持って立ち向かうことで自らの力に変えて、次の成長につなげられるような会社にすることが私の使命だ」と述べた。
古川氏が真っ先に取り組むのは日立全体の業績を悪化させているハードディスクドライブ(HDD)、ディスプレイ、薄型テレビの3事業の建て直し。古川氏は3事業の低迷の原因を「価格下落に対応できなかった」と分析した。この3事業以外の事業は「予定に近い成果を上げていた」(古川氏)といい、新社長にとっては3事業の問題解消が急務だ。
古川氏は3事業について「いろいろな改革のタネは仕込んだつもり」と述べた。具体的にはHDDでは生産支援、開発支援を実施。HDDに対するマーケットのニーズは高いとして「2006年度後半にはプラスになる」との見通しを示した。ディスプレイについても日立の独自技術を活用し、「強いところをさらに強くしていく」方針で再浮上を目論む。薄型テレビは「2005年前半は開発が遅れてシェアを落としたが、ラインアップの拡充などで2006年に向けてきちんと回復してきている」と話した。2006年度後半にはすべての事業を黒字化することを目標にする。
日立の社長はこれまで主力である重電事業の経験者が就くケースが多かった。入社以来、情報通信事業を一貫して担当してきた古川氏が社長に就任する背景には、成長が期待できる情報通信分野を事業の中核に据えて、日立全体の改革を促す狙いがあるようだ。
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