Palm OSの将来をめぐり高まる懸念
PalmSourceとACCESSの幹部らは「Linuxバージョンは成功するだろう」としているが、PalmによるWindows搭載Treoの発表やPalm OS Cobaltの新バージョンがなかなか出ないことなど、懸念材料は多い。
ここのところ、モバイルコンピューティング業界の注目は米連邦判事がBlackBerryに販売禁止命令を言い渡すかどうかに集まっているが、その一方では、先月PalmSourceがACCESSに買収されたことでPalm OSの将来を危ぶむ声も高まっている。
PalmSource幹部は、この古参のハンドヘルドOSには将来があると主張しているが、一部の業界観測筋は、Palm OSベースのハンドヘルドPCの導入はリスキーだと指摘している。ACCESSは携帯電話向けブラウザNetFrontで知られる会社。同社はまだPalm OSの詳細なロードマップを発表していない。
Gartnerのアナリスト、ケン・デュラニー氏は次のように指摘している。「Palm OSがACCESSに買収されて以来、われわれはPalm OSへのエンタープライズアプリケーションの新たな導入は勧めていない。プレゼンテーションを見る限りでは、ACCESSは消費者向けの技術にフォーカスしている。エンタープライズ向けのサポートは弱まるだろう」
さらなる懸念材料は、MicrosoftのWindows Mobileへの支持の高まりだ。ハンドヘルドPCメーカーのPalmは2009年までPalm OSのライセンスを取得しており、自社のWebサイトでは今でもPalm OS開発者を募集している。だがその一方で、同社は2006年にはWindows Mobileベースのスマートフォン、「Treo」の出荷を計画している。
またSymbol Technologiesは古くからのPalm OSの顧客ベースに対するサポートを続ける一方で、最近は、エンタープライズハンドヘルドPCの取り組みの大半をWindows Mobileに向けている。
一方、PalmSourceは2004年9月にPalm OS Cobalt 6.1をリリースして以来、新版をリリースしていない。Cobaltはスマートフォン向けに設計されたOSで、BluetoothとWi-Fiの両ネットワークに対応した統合テレフォニー機能と標準サポートを搭載するが、これまでのところ、同OSを採用したデバイスはどのライセンシー企業からも発表されていない。
PalmSourceのエンジニアリング担当上級副社長マイク・ケリー氏は、次のように語っている。「Cobalt 6.1には主要な最新機能が含まれる。そうした機能はすべてLinuxバージョンにも搭載されることになる」
それでもPalmSourceとACCESSの幹部は、Palm OSには将来があり、その将来はLinuxだと主張している。PalmSourceは2005年2月にモバイルソフトウェアメーカーのChina MobileSoftを買収した際に、高速ブートを特徴とするLinuxカーネルを技術ポートフォリオに追加している。
「Linuxバージョンは成功するだろう。Cobalt 6.1のスーパーセットとなる。われわれは2006年には顧客に提供するスケジュールで計画を進めている」とケリー氏は語っている。
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