堀江社長ら、証取法違反で逮捕
ライブドア問題をめぐり、堀江社長ら4人が証取法違反容疑で逮捕された。急成長を遂げたインターネット企業の経営陣が刑事責任を追及される異例の事態に発展した。
東京地検特捜部は1月23日夜、証券取引法違反の疑いで、ライブドア社長の堀江貴文社長(33)ら同社幹部4人を逮捕した。特捜部は、投資事業組合や株式交換を使った一連の不正などについて追及するもようだ。
ライブドアは、ポータルサイト「livedoor」やデータセンターの運営、OSやWebブラウザの販売など、ITやインターネットに関連する事業を広く手掛けてきた。急成長を遂げたインターネット関連企業の経営陣が刑事責任を追及されるという、日本のIT業界がほぼ初めて直面する極めて異例の事態となった。
逮捕されたのは堀江社長のほか、宮内亮治取締役最高財務責任者(38)、ライブドアマーケティングの岡本文人社長(38)、ライブドアファイナンスの中村長也社長(38)ら。
調べでは、堀江社長らは、2004年10月、バリュークリックジャパン(現ライブドアマーケティング)が出版社「マネーライフ社」の買収を発表した際、同社は既にライブドアが投資事業組合を通じて実質的に傘下に収めていたが、これを隠して株式交換による100%子会社化を発表した偽計取引などの疑いがもたれている。
東京地検特捜部は同日午後から堀江社長を聴取していた。
ライブドアをめぐっては、株式交換による企業買収と株式分割を組み合わせる手法で株価をつり上げた上で、自社株を売却して利益を還流する仕組みを作り上げた疑惑が指摘されている。またライブドア本体も2004年9月期単体決算で粉飾を行い、経常黒字に見せかけた疑いが指摘されている。
東京地検特捜部は1月16日にライブドアの強制捜査に着手。堀江社長は17日朝の会見で「状況が把握できていない中、進退をうんぬんするのは逆に無責任かなと思う」などと話していた。
「想定外」「新規参入」で時の人に
堀江社長は1972年10月生まれ、福岡県出身。1996年4月、東京大学在学中に「オン・ザ・エッヂ」を設立。2000年4月に東証マザーズで株式公開した。
2002年10月、民事再生を申し立てた旧ライブドアからISP事業を取得。2003年4月に社名を「エッジ」に変更、2004年2月には現社名に変更した。
同年6月、プロ野球の大阪近鉄バファローズ買収に名乗りを上げ、「球界全体を相手に戦う覚悟」と述べて時の人に。買収を断念した後、仙台市を本拠地とした新球団で新規参入を目指したが、楽天と争って敗れた。
2005年2月、ライブドアがニッポン放送の大株主として登場。フジサンケイグループの集客力をいかし、ポータルサイトサービスをYahoo!JAPANに匹敵するレベルに拡大したいとしてフジテレビジョンに提携を迫り、4月に資本・業務提携で合意するまで2カ月間の攻防を繰り広げた。同年9月の衆議院選にも出馬して話題を集めた。
関連記事
- 堀江社長が会見 「社内調査で現状把握に努めたい」
証券取引法違反の疑いで強制捜査を受けたライブドアの堀江貴文社長は1月17日朝、同社で会見し、「関係者に心配をかけたことは取り急ぎお詫びしたい」などと話した。 - 東京地検がライブドア家宅捜索に着手 証取法違反の疑い
東京地検特捜部は、証取法違反の疑いでライブドア本社の家宅捜索に入った。子会社のライブドアマーケティングをめぐり、風説を流布した疑いがもたれているもようだ。 - ライブドア堀江社長、「球界全体を相手に戦う覚悟」
2月から近鉄に買収提案していたというライブドア。会見を開いて買収への“本気度”をアピールし、売名行為ではという憶測を否定した。 - 堀江社長「ライブドア+ニッポン放送」でYahoo!追撃
ニッポン放送株式の35%を取得したライブドア。フジサンケイグループの集客力を活用し、ユーザーベースをYahoo!JAPANと同レベルに高めたいという。総合メディア企業への野望も見え隠れする。 - 堀江社長、提携は「想定の範囲内の良い方」
資本・業務提携を発表したライブドアの堀江社長とフジテレビの日枝会長は、終始笑顔で会見に臨み、“友好的”提携をアピール。堀江社長は「ライブドアを日本を代表するネット企業にしたい」と期待を込めた。 - オン・ザ・エッヂを創業した彼女が歩いてきた道
最初は、学生4人でのスタートだった。彼女は取締役、社長は堀江貴文氏。月日は過ぎ、いま創業メンバーはそれぞれ別の道を歩いている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.