廃業する中古店も 広がるPSE法の波紋、集会で訴え(2/2 ページ)
中古家電の一部が販売できなくなるPSE法の本格施行まで1カ月を切った。廃業に追い込まれた中古店もあり、波紋は広がっている。
高円寺には、生活費を削りながら夢を追いかけるアーティストの卵が多い。「安い中古品が買えなくなれば、生活が苦しくなり、夢をあきらめる若者も出てくるかもしれない」。同店が中心となり、3月18日午後に、高円寺でデモ行進を行う予定だ。
アマチュアバンドマンの中山義也さんは「中古の安い楽器を買って音楽に触れる若者は多い」と指摘。「日本の音楽文化の衰退にもつながる」とした。
抜け道も矛盾
中古品を業者が合法的に販売する方法はないわけではない。中古販売業者が製造業者として登録し、定められた検査をした後、PSEマークを付けて販売するという手段だ。
しかしこの方法だと、中古業者が製造者としての責任を負わなければならなくなる上、「元の製造メーカーから了承を受ける必要があると聞いた」(札幌市の中古店店主)という情報もあり、安易には選択できない。
PSE法は、1962年に制定された電気用品取締法を改正してできた法律だが、安全基準は両法でほとんど変わっていない。「旧法に適合し、一度“安全”とお墨付きをもらって世に出た機器を、なぜまた検査しなくてはならないのか」――再検査という“抜け道”も矛盾していると、製パン機材をリサイクル販売する高橋興一郎さんは訴える。
今後の対応は
今後の対策として上がったのは、猶予期間の延長や、旧法に適合した商品を販売可能にする、といった形の改正など。「電気製品の安全性を高めるという同法の精神を、本当に実現できる法律を改めて模索すべきだ」(高橋健太郎さん)
集会には、国会でPSE法に関する質問を行った民主党の川内博史衆議院議員や、共産党の塩川てつや衆議院議員も参加。塩川議員は「超党派で力を合わせていきたい」と語った。
第2回集会は、3月10日の午後1時半から、衆議院第2議員会館(東京都千代田区)開かれる予定。
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