Opera、モバイル対応Webサービス戦略を推進(1/2 ページ)
「Webサービスは次世代モバイルビジネスツールの原動力になる」との展望を掲げるブラウザメーカーのOperaが、自社のモバイルアプリケーション開発プラットフォームの利用を推進している。
ノルウェーのオスロに本拠を置くOpera Softwareは先週、ビジネスユーザーへのモバイルWebブラウジング配信を推し進める戦略の一環として、新たに契約を交わした欧州のキャリアがエンドユーザー向けにOperaのWebサービスアプリケーション開発プラットフォームを提供開始すると発表した。
こうした取り組みは、将来のワイヤレスビジネスアプリケーションの枠組みをもたらすものだ、と同社幹部陣は語った。
Operaによれば、提携した独Debitelとの合意に基づき、既存プログラムのOperaモバイルブラウザへの移行を支援するアプリケーション開発ツールを利用する機会が顧客に提供される。Debitelは独シュツットガルトに本拠を置く欧州中堅の情報通信プロバイダー。
Operaのハコン・ウィアム・リーCTO(最高技術責任者)は、企業ユーザーは「Opera Platform」と呼ばれるこのツールを使って、まったく新しいワイヤレスビジネスアプリケーションを開発することも可能になると説明した。
欧州素粒子物理学研究所(CERN)で先駆的なWorld Wide Webプロジェクトに携わり、現在はWorld Wide Web Consortium(W3C)のアドバイザリーボードのメンバーを務めるリー氏は、エンドユーザーのOSに依存しないデスクトップブラウザベースのアプリケーション構築を可能にする標準の確立に、なぜ長い時間がかかったのかいまだに分からないと語った。
モバイルビジネスアプリケーションの開発では同じ過ちが繰り返されないことを願っているとリー氏は言い添えた。
「ここまで来るのに非常に長い時間がかかったが、今ようやく相互運用性のある標準上でのアプリケーション開発が実現した。これにより、利用OSがWindows、Linux、Mac OSのいずれであろうとも、それを意識することなくアプリケーションを構築できるようになった。Opera Platformでも、デスクトップ用ウィジェットを書くのと同じ手法で、専有技術にとらわれることのない新しいモバイルビジネスアプリケーションを書けるようにしたい」(同氏)
Operaによれば、Debitelと顧客企業数社は、現場サービス担当者用のフォームベースのアプリケーションなどの、Operaのモバイルデバイスソフトウェア専用モバイルワーカー向けツールの新版開発に既に取り組んでいる。Operaはスマートフォン向けの「Opera Mobile」ブラウザと、より一般的な携帯電話向けの軽量ブラウザ「Opera Mini」を販売している。
Webサービス開発の発達と、スマートフォンなどの新しいモバイルテクノロジーの登場が組み合わされば、企業は現行ITインフラの新たな活用法を見出せるだろうとリー氏は話している。
これらアプリケーションを最も有効に設計、テスト、導入するべく企業が経験を積むにはさらに時間がかかるものの、こうした作業を支援する必要な要素はそろいつつあるという。
「増えつつある先進的なツールをWeb標準を使って構築する分野は進化しており、いずれ、どのOS向けに開発されているかを意識しなくなる時が来る。企業は現行標準の上に新たなモバイル向けアプリケーションを迅速に作れるようになるため、Webサービスを使って今まで考えなかったやり方で自分たちのITインフラ全体を変革できることについて、より一層の理解を深めることだろう」(リー氏)
リー氏は、多くの企業がこうした手法で大半のビジネスアプリケーションを積極的に構築・導入するようになるにはまだ数年かかることを認め、また、ソフトウェアならびにデバイスメーカー側では開発環境の徹底したテストが必要だとしながらも、早くもこのトレンドに飛びついているユーザーもいると語った。
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