日立GST、ビデオ向け新HDD「CinemaStar」投入
日立グローバルストレージテクノロジーズは、ビデオ録画機器向け3.5インチHDD製品「CinemaStar」シリーズを投入。デジタルレコーダー市場の拡大に対応する。
日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)は4月12日、HDDレコーダーやセットトップボックス(STB)など、ビデオ録画機器向け3.5インチHDD製品「CinemaStar」シリーズを今年7〜9月期に投入すると発表した。デジタルレコーダー市場は年率20%の成長が見込まれており、同市場に特化したHDDの投入などで、同社は3.5インチHDD市場シェアを現在の9%から2008年には2倍に拡大したい考えだ。
投入するのは、1枚当たり160Gバイトのプラッタ(円板)を採用した、容量500Gバイトの「CinemaStar 7K500」と、容量160Gバイトの「7K160」。
同時に発表したPC・サーバ用「Deskstar」の新製品と容量や回転数などの仕様はほぼ同じだが(関連記事参照)、ATA-7(Ultra ATA/133)AVストリーミングコマンドへの対応で動画データをスムーズに読み出せるほか、Deskstarに比べシークタイムを抑えたり、回転数を落とす待機モードの搭載などで低騒音化や省電力化を図っているという。
3.5インチHDD市場では、デスクトップPC用は毎年1けた台の成長に落ち着いているものの、HDDレコーダーやSTBなどのデジタルレコーダー市場は高成長が続く。米調査会社のTrendFOCUSは、2006年のデジタルビデオアプリケーションの約8割はHDDをストレージとして採用すると見ており、ビデオ分野がHDD需要の拡大をけん引すると予想している。
日立GSTは、日立製作所が米IBMのHDD事業を買収して発足したHDDメーカー。2005年の売上高は前年比6%増の4965億円となり、最大手の米Seagate Technologiesに次ぐ2位。3.5インチから2.5インチ、1.8インチ、1.0イインチをラインアップにそろえ、携帯オーディオ市場の拡大なども追い風に出荷台数は同25%増の5840万台に上った。
ただ、HDD市場はメーカー間競争や価格下落が激しく、現状では同社は赤字。今月就任した日立の古川一夫社長は今年度後半の黒字化をコミットした(関連記事参照)。
日立GSTの田宮敏彦社長は「市場は予測以上に伸びている。通年は厳しいが、年度後半の黒字化の手応えはある」と話した。年内には垂直磁気記録(PMR)方式を導入した大容量2.5インチHDDを投入するほか、3.5インチでは160Gバイトプラッタを活用してさらに大容量化した製品も計画中。2010年には同社全体で2億台の出荷を想定している。
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