「東芝はSEDにかけている。撤退はない」──西田社長
発売を延期したSEDだが、「50年に1度のディスプレイ技術。撤退はない」と東芝・西田社長は強調する。1800億円を投じる製造拠点新設も計画通り進める。
東芝の西田厚聡社長は5月11日、同社2008年度まで3カ年の中期経営計画を発表した。今春の発売予定が延期になったSED(Surface-conduction Electron-emitter Display)については「撤退はない」と強調し、1800億円を投じるパネル量産拠点の新設も計画通り進める方針を明らかにした。
SEDはキヤノンと共同開発している次世代薄型ディスプレイ。ブラウン管並みの応答性や色再現性を持ち、画質面で優位とされている。東芝とキヤノンは今春の製品発売を計画していたが、現状ではPDPや液晶にコストで対抗することが難しく、発売を2007年第4四半期に延期した(関連記事参照)。
計画では、2007年7月にキヤノン平塚事業所(神奈川県平塚市)で55インチパネルの量産を開始。同年第4四半期の製品発売を経て、北京五輪が開かれる2008年初めには、東芝姫路工場(兵庫県太子町)に新設する拠点で本格量産をスタートする。姫路工場には総額1800億円を投じる。
西田社長は都内で開いた発表会で、「報道では誤解もされているようだが、SED撤退はない。50年に1度のディスプレイ技術であり、これにかけている」とSEDへの期待に変わりはないことを強調。PDPと液晶に比べ、量産性やコスト競争力で劣るという見方が根強いが、「SEDは材料費比率が低いので、設備の償却が進めばコスト競争力は優位に立てる」とした。
電子デバイス分野向け研究開発費は3年間で約6000億円を計画しているが、Cellプロセッサ応用システムや次世代不揮発性メモリなどとともに、SEDにも重点配分する。
SEDを含む映像事業は、中型液晶テレビまでのフルHD化やHD DVDへのシフト、携帯プレーヤーやHDDムービーカメラの拡大や事業構造改革を進め、2007年度には黒字化する計画だ。
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