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妄想クリエイター集団「宙プロ」に迫る(1/3 ページ)

なんでもWeb2.0化する「Web2.0ジェネレーター」や、代官山をオタクショップで満たした地図――「宙プロ」は、飲んだくれながら愉快でニッチなコンテンツを作る。

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 おしゃれな街・代官山がオタクショップだらけだったら。「渡る世間は鬼ばかり」的なドラマをレゴで再現したら。焼酎のラベルに達筆で「2次元の女」と書いてあったら――

 謎の6人集団「宙プロ」(ちゅうぷろ)は、そんな妄想を形にしては、Webサイト「妄想ドリンカーズ」にアップする。「世の中のかっこいいものに、アレルギーがあるんです」。メンバーの内山洋紀さんはてらいなくこう語る。

 例えば「僕たちの代官山最新MAP」。かっこいい街・代官山の地図に、ディスカウントショップ「ドン・キホーテ」をたくさん並べたり、オノデンやまんだらけ、国際展示場といった“オタクの聖地”で満たしてみたりした。

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僕たちの代官山最新MAP(編注:実際の代官山の地図とは異なります)

 「焼酎ブームってどうよ」となると、焼酎のラベルに「電車男」や「二次元の女」など、ありえない文字を筆で書き付けてサイトで発表。「レゴって対象年齢5歳〜12歳って書いてあるけど30歳はダメなの?」と、レゴでホームドラマを作ってみた。

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「ありえない酒ラベル」
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レゴのホームドラマ「渡る世間はLEGOばかり」

 最近のヒットは、どんなキーワードも「1.0」と「2.0」に分ける「Web2.0ジェネレーター」だ。次世代のサン・マイクロシステムズ社員に求められる能力を表にした「社員1.0と社員2.0」を見て焦りを覚えたことがきっかけ。流行に付いていけない「置いてけぼり感」が、開発を駆り立てた。

 「ぼくら自身は1.0以前。0.3とか0.5ぐらいだと思ってる。みんなが『2.0』と得意げに言うようになると置いてかれちゃって困るから、人々の歩みを止めようと思った」(内山さん)。「先に作ってしまえばみんな、2.0と言い出さないようになるかなと。けん制ですね」と、メンバーの加藤カオルさんも同意する。

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Web2.0ジェネレーターの出力例。「はてなブックマーク」で話題になり、多くのアクセスを集めた。「2.0を揶揄(やゆ)するつもりが、2.0型サービスと言われるはてなブックマークのおかげで広まった」(加藤さん)

 飲み会で盛り上がっているうちに生まれる企画を、コンテンツにしてサイトにアップする。かっこいい物へのアレルギー、クールなものへのコンプレックスから、企画のネタが生まれるという。

 宙プロメンバーは学生時代から「アンチかっこいい」を貫いてきた。早稲田大学を1999年前後に卒業した同窓生で、28〜31歳の6人。原点は、かっこ悪いのに大人気だった掲示板サイト「掲示板的コトバ宇宙 -宙」だ。

1人に1個、宇宙を配る

 「今さら“クールなホームページ”を作るのは、今からスノボ始めるくらいキツい」――1998年当時、別々のサークルのWeb担当者として知り合った内山さん、加藤さん、伊奈敦紀さんの3人は、こんなやりとりをしていたという。学園祭の中止が決まり、エネルギーを持て余していたころ。翌年の卒業までにかっこ悪いネットサービスを作ろうと思い立った。

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