BD陣営にケチはつけさせない──東芝、初のHD DVDレコーダー発表
東芝が初のHD DVDレコーダー「RD-A1」を7月に発売する。ワールドカップには間に合わなかったが、「東芝の技術をすべて集めた」という高級機だ。
東芝は6月22日、初のHD DVDレコーダー「RD-A1」を7月14日に発売すると発表した。追記型のHD DVD-Rメディアにデジタルハイビジョン番組を録画できる。価格は39万8000円(税込み)。年内に1万台の販売を見込む。
記録型HD DVDドライブを搭載した初のレコーダー。1層15Gバイト・2層30GバイトのHD DVD-R(追記型)メディアに対応し、地上デジタルハイビジョンを2層メディアなら約3時間50分、1層なら約1時間55分記録できる。
HDDは1Tバイトの大容量。地上デジタルハイビジョンを最長約130時間分、録画できる。「ハイビジョン時代では、レコーダーの本質はHDD」(同社)と基本的にはHDDにハイビジョン番組を蓄積し、残したいものをHD DVDに保存する──というスタイルを想定。新製品は「HD DVDを搭載したハードディスクレコーダー」という定義だ。
3波対応デジタル放送チューナーとアナログ放送チューナーを内蔵し、デジタル放送とアナログ放送の同時録画も可能。HDMI端子による1080p出力に対応するなど、再生機としての性能も充実させた。
「『ワールドカップまでに』は難しかった」
「プレーヤーでは社内で不満もあったので、レコーダーの開発は好きなようにやれ、一切BD(Blu-ray Disc)陣営からケチがつかないように、と言った」──東芝の藤井美英上席常務は都内で開いた発表会でこう明かし、「東芝の技術のすべてを集めた製品だ」と胸を張った。
3月末のプレーヤーの発表時、「サッカーのワールドカップまでには発売する」としていたが、「録画可能時間が130時間あればワールドカップ全試合を録画できる──と目標にはしていたが、やはり難しかった」と弁明。スペックダウンすれば間に合ったかもしれないが、悔いはない、とした。
シャシーまでこだわったハイエンド機として、価格は同社の地上デジタル対応DVD&HDDレコーダー「VARDIA」上位機種の倍以上となった。藤井上席常務は「値段はいろいろ考えた。個人的には100万円を付けたいくらいで、安いという意見もある」と悩んだ上での決断だったとした。普及価格の製品計画などは明かさなかった。
HD DVDプレーヤーの新製品についても具体的な計画は明らかにしなかった。プレーヤーは本年度に60〜70万台の出荷が目標で「上方修正もありうる」(藤井上席常務)と強気だ。同社は「本年度目標の残り、50〜60万台をどう埋めるか、ということ」と新機種の投入を示唆した。
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