やわらか戦線、異状アリ? Flashアニメの商品化に企業続々(2/2 ページ)
ネット発のFlashアニメ「やわらか戦車」に、商品化の動きがある。複数の大手玩具メーカーが「やわらか連合軍」を結成、多様なジャンルの商品をリリースする。
前出の高山氏は、いまや多様な分野からキャラクターグッズが登場する時代なのだと話す。テレビアニメやマンガのキャラクターはもちろん、「ポケモン(ポケットモンスター)などはゲーム出身のキャラクターの成功例として、後々まで語られるのかもしれない」。ほかに「たらこキューピー」のような“ちょっとズレた、面白いキャラ”が話題になる場合もあり、キャラクターの多様化が進んでいるという。
高山氏によれば、「次は携帯かネット業界からキャラクターが出てくるだろう、という見方が業界に広がっていた」。そんな中で過去に商品化が試みられたキャラクターが、「ギコ猫」であったり「のまネコ」だったりしたが(2005年9月9日の記事参照)、これらは複数のネットユーザーから反発を受け、失敗した事例として記憶されている。
今回のやわらか戦車は今のところ、のまネコのようなトラブルとは無縁に見える。いわば“初の成功事例”になる可能性があり、各事業者とも新しい流れに乗りたいものと参加に積極的だという。
もう1つ、参加企業数が多い理由としてライブドアとファンワークス側の戦略も見逃せない。一般にキャラクターグッズは、1つのジャンル/カテゴリーを1社がとりしきることがある。「例えばA社がキャラのぬいぐるみを作ったら、ほかの事業者はぬいぐるみは作れない。極端なことを言えば、A社が権利だけ押さえて何も作らなくても、B社やC社はそのキャラのぬいぐるみを開発できない」(同)
だがやわらか戦車の場合は、個別の製品ごとに商品化を認めている。「やる気のあるところにクオリティの高いものを作ってほしい」(同)という発想だが、これにより同一ジャンルで複数の企業がグッズをリリースすることも可能だ。必然的に参加企業数も多くなる。
“ネット発”のコンテンツとして、双方向志向で
やわらか戦車は、ネット発コンテンツであるというアイデンティティを大切にしている。それを示すのが、前出の企業群が参加するブログ「やわらか戦車連合軍BLOG」をオープンすることだ。これは、各メーカーの開発担当者が商品の進捗状況を報告するというサイト。
「まだ製品が未完成の状態でも、写真を公開したりしてグッズができていく過程を見せたい。ユーザーの間で『あんなことをしているらしい』と、話題にしてもらえれば。時には『似てないにも程があるので、退却ー』などとツッコミを入れてもらって、親しみのもてる製品にしたい」
オフィシャルブログ以外に、一般のユーザーのブログでの口コミ伝達力を活用すべく、やわらか戦車のブログパーツを提供するというアイデアもある。高山氏は、こうした双方向性のある取り組みはキャラクター業界としては珍しく、おそらくは初めてでないかと話す。
ネット上で産声を上げた“史上最弱の兵器”は、いつしか多くの企業を巻き込みスケールアップした。その動向がキャラクター業界の行方を占うことになる……と、もしもやわらか戦車に教えてあげたなら、当人はキョトンとしてきっとこう言うだろう。
「何だか話が大きくなっているので、退却ー!」
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