MSが去ったMac用仮想化市場、ParallelsとVMwareの激突の行方は?(2/2 ページ)
MicrosoftがMac用仮想化市場からの撤退を発表し、この市場では小規模な新興企業と大手の有名企業の一騎打ちが繰り広げられることになった。だが、MicrosoftがVirtual PC for Macに見切りをつけた理由にはまだ疑問が残る。
VMwareとParallelsが機能競争で対決を繰り広げる一方で、ほとんどのMicrosoftウォッチャーは、同社がライバルに市場を明け渡すとは予想していなかった。Virtual PCは長年にわたって、PowerPC Mac上でWindowsを利用するためのソフトとして揺るぎないトップの座を占めていた。そのMac OS X統合機能は、ほかのソリューションがまだ備えていないものだ。
Macの以前の技術的枠組みに緊密に統合されていたことが、Virtual PC終了の原因となったのかもしれない。MicrosoftはVirtual PC for Macの開発を中止した理由として、「この製品がMacハードウェアと密接に統合されているため」、膨大なPowerPCコードをIntelベースMacに移植しなければならないことを挙げた。
以前にも、プロセッサへの依存がVirtual PC for Macに問題をもたらしたことがある。AppleがPowerPC G5を初めて投入したとき、Virtual PCは同プロセッサベースのMac上で動作しなかった。Virtual PCはメジャーアップグレードによってPowerPC G5に対応したが、Microsoftはこうしたプロセッサの移行に伴う開発作業にこりごりしている。
「既存のコードベースの大部分を新しい環境用に書き換えなければならない」とMicrosoftの製品管理/マーケティング担当ディレクター、スコット・エリクソン氏は語る。「われわれは、Virtual PCをIntel Macに対応させるためにかかる時間は、ほかの選択肢が市場に出回っていることを考えると、あまりに長過ぎると考えた」
だが、ParallelsやVMwareと同様に、MicrosoftはPowerPCコードに頼る必要はないはずだ。同社はVirtual PC for Windowsという形でIntelコードを持っているからだ。
ルドルフ氏によると、Parallelsでは、Parallels WorkstationのLinux版とWindows版をIntel Macプラットフォームに移植するのに3カ月しかかからなかった。
「Mac OS Xのバックエンドは非常に開発者フレンドリーだ」(ルドルフ氏)
しかし、MicrosoftはIntelコードの移植という選択肢を排除した。
「われわれはその選択肢も検討した。だが、その場合も、PowerPCコードを移植する場合と同じくらい大量にコードベースを書き換えなければならなかっただろう」とMicrosoftのMac事業部門の筆頭マーケティングマネジャー、シェリダン・ジョーンズ氏は語る。
MicrosoftはWWDCでVirtual PCに関する正式発表を行った際、Virtual PCをIntel Macに対応させるのに必要な労力は、「Version 1.0の製品を作る場合に匹敵する」と述べた。また、Microsoftは質問に答え、Macプラットフォーム用の新しいアプリケーションを二度と開発しないというわけではないと語った。
「そのようなつもりはない」とジョーンズ氏。「ただ、Virtual PCに関して言えば、われわれは長い間、Macユーザーも時にはWindowsファイルにアクセスしなければならないことがある、ということを踏まえて提供してきた。だが今では、Appleやほかのベンダーからもソリューションが提供されている」
ジョーンズ氏は、MicrosoftのOfficeでの取り組みが、MicrosoftがMac用の新アプリケーションをもう開発しないというつもりはないことの証明になると語った。
「OfficeをIntel Macに対応させるのは、Virtual PCの場合と同じように大掛かりな作業になる。大変な大仕事だ」と同氏。
しかし、Officeの場合もVirtual PCと同様に、MicrosoftはIntelコードを自由に使うことができ、Intel Mac版の基盤にすることもできる。
「われわれはWindows Officeチームとよく協力している」とジョーンズ氏。「だが、われわれはWindows Officeのコードを直接移植することはしない。われわれの製品はMac顧客向けの独自のバージョンだからだ」
ユーザーにとってVirtual PCのメリットの1つは、Windowsがプリインストールされた唯一のソリューションであることだ。そのおかげでユーザーはWindowsをインストールする手間を省くことができる。Microsoftは、他社の仮想化ソリューションでこうした利便性が提供されることを妨げはしないと述べた。
「MicrosoftのOEMポリシーは公開されており、どのベンダーもOEM契約を希望することができる」とエリクソン氏。「現時点では、Apple、Parallels、VMwareは、MicrosoftのOEMではない」
だが今のところ、Microsoftは、MacユーザーにWindows XPの製品パッケージが売れれば満足のようだ。
同社はWWDCでの発表で、こう述べている。「ユーザーは、Appleやほかのベンダーから提供されているソリューションをWindowsの市販パッケージと組み合わせれば、Virtual PCでカバーされていたニーズを満たすことができる」
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