「Wiiより安い」――Xbox 360、価格と国産ゲームで勝負
Xbox 360が、先行者メリットを生かし切れないままライバルの登場を迎える。安価な外付けHD DVDプレーヤーと国産有力ソフトを新たな武器に、「Wii」「PS3」と年末商戦を戦う。
「セットの内容をよく見れば、実はWiiより安い。年末に発売されるゲーム機で一番お得」――マイクロソフトは、9月20日に開いたゲーム事業の報道向け説明会で、Xbox 360の割安さを強調した。弱点と言われてきた国産タイトルも続々と投入する予定。任天堂の「Wii」とソニー・コンピュータエンタテインメントの「PLAYSTATION 3」(PS3)を発売を控え、優位性のアピールに躍起だ。
同社Xbox事業部長の泉水敬氏が「Wiiと比べても安価」と紹介したのは、標準セットよりも約1万円安価な「Xbox 360 コアシステム」。価格は2万9800円(税込み、以下同)で、期間限定でソフト2本(「プロジェクトゴッサム レーシング 3」「NINETY-NINE NIGHTS」)が付属。ソフトの値段を差し引くとWiiの予価・2万5000円を下回る。
同日、「ファイナルファンタジー」シリーズを手掛けた坂口博信さんプロデュースのRPG「ブルードラゴン」とコアシステムのセットも2万9800円で12月7日に発売すると発表した。「3万円以下でXbox 360とブルードラゴンが楽しめる。たいへんお得なセット」(泉水氏)
同日発表したXbox 360用HD DVDプレーヤーとコアシステムを組み合わせれば、HD DVD再生環境が約5万円で手に入る(関連記事参照)。Blu-ray Discプレーヤーを内蔵したPS3(6万2790円から)よりも安価だ。
日本人による、日本人のためのXbox 360に
欧米では好スタートを切ったXbox 360。全世界での販売台数は、年末までに1000万台を超える見通しという。ただ、日本人が好むジャンルのタイトルが少なかったこともあり、日本では不調。巻き返しを図るため、日本向けタイトルの強化に注力してきた。
Xbox 360の総タイトル数は現在69だが、年末までに110に拡大し、うち70が日本製。「ブルードラゴン」のほか、「ウイニングイレブン」や「DEAD OR ALIVE」など人気シリーズを投入していく。「日本のユーザー向けタイトルが少ないというイメージを払拭できる」(泉水氏)
ブルードラゴン (C)2006 BIRD STUDIO / MISTWALKER, INC. All rights reserved. (C)2006 Microsoft Corporation. All rights reserved.
米Microsoft副社長でXbox事業を担当するピーター・ムーア氏も、2日後に控えた東京ゲームショウで多数の日本向けタイトルを展示できると意気込む。「日本の優れたクリエーターが開発した日本のコンテンツを、日本のゲーマーのために数多く提供できる」(ムーア氏)
オンラインサービス「Xbox Live」でカジュアルゲームをダウンロードできる「アーケード」にも国産タイトルを追加。新たに「ミズ・パックマン」「イーアルカンフー」などがプレイできるようになる。
Xbox 360のユーザーの5割がXbox Liveに接続しているといい、来年中旬までに600万ユーザーを獲得する見込み。コンテンツのダウンロード数は1000万を超えたという。
次世代機戦争を勝ち抜けるか
「ゲーム機は、グラフィックやCPU性能、記憶容量の面で進化してきており、高い水準に到達している。日本のゲーム業界は今転換期。従来とは違う世代交代が求められている」
泉水氏がこう指摘する通り、次世代ゲーム機に求められる価値はもはやハイスペックだけではない。年末商戦のライバルとなるWiiは、初心者でも楽しめるゲーム性と新機軸のコントローラ、低価格が武器。ハイスペックを追求したPS3は、Blu-ray Discプレーヤーを搭載して次世代AV機としてもアピールする。
マイクロソフトがアピールするXbox 360の差別化要因は、オンライン機能やWindowsとの連携、豊富なアクセサリ類によるカスタマイズ性、有力ゲームのラインアップなどだが、これらの特徴が日本のユーザーにどこまで魅力として映るかは未知数だ。
“最初に登場した次世代機”Xbox 360は、HD DVDプレーヤーと人気ゲーム、低価格な「コアシステム」という新しい武器を手に入れたものの、国内では先行者メリットを生かし切れないままライバルの登場を迎えることになりそうだ。
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