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ハッカー「DVDヨン」、スティーブ・ジョブズ氏に反論

「行動は言葉よりも雄弁だ、スティーブ」――FairPlayをクラックしたこともあるハッカーが、ジョブズ氏の「FairPlayを開放しない理由」に異を唱えた。

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 Appleのスティーブ・ジョブズCEOが4大レーベルにDRM(デジタル権利管理)廃止を呼びかけるメッセージを公開したことに対し、有名ハッカーが反論した。

 ジョブズ氏に異議を唱えたのは、DVDのコピー防止技術を解除し、AppleのDRM技術「FairPlay」をクラックしたこともあるヨン・ヨハンセン氏。自身のブログ「So Sue Me」で3つのエントリにわたって反論している。

 ヨハンセン氏は最初のエントリで、「AppleがDRMを導入したのはレコード会社の要請によるものであり、同社としてはDRMなしの楽曲を販売したい」とのジョブズ氏の主張に対し、先月のNew York Timesの記事を引用している。

 この記事によると、DRMなしの楽曲を販売するeMusicサービスに楽曲をライセンスしているレコード会社Nettwerk Music Groupに対し、AppleはiTunes Storeで楽曲を販売する際にはFairPlayを採用するよう主張したという。Nettwerk幹部は、同社は当初AppleにDRM採用を求めていたが現在はそれをやめており、今はDRMはAppleの利益にのみかなっていると記事の中で話している。

 「コンテンツ所有者がDRMの義務づけをやめたら、iTunesチームがDRMを外すのには2〜3日くらいしかかからないはずだ」とヨハンセン氏は述べ、「行動は言葉よりも雄弁だ、スティーブ」とエントリを結んでいる。

 2番目のエントリでは、ジョブズ氏の統計を「誤解を招く」と指摘している。

 ジョブズ氏は囲い込みの指摘に、「2006年末時でiPodの累計販売台数は9000万台、iTunes Storeで購入された楽曲は20億曲。平均では1台当たり22曲だ。iPodに1000曲入る中でFairPlay付き楽曲は22曲、わずか3%だ。残る97%はiTunes Storeで購入していない楽曲であり、iPodユーザーはiTunes Storeに囲い込まれていない」と反論しているが、ヨハンセン氏は次のように述べている。

 「9000万台のiPodの中には現在使われていないものもある。重要なのはiTunes Storeの利用者数と1人当たりの購入数だが、Appleはこれを開示していない」。同氏はこう指摘し、多くのiPodユーザーはiTunes Storeで何も買ったことがないかもしれないが、数百曲を買ったユーザーもいると語る。

 「10曲買ったくらいでは強力な囲い込みではないが、100曲(99ドル)、テレビ番組10本(19.90ドル)、映画5本(49.95ドル)を買ったら、非Apple製品に乗り換えるのをためらうだろう。このような顧客こそ競合他社にとって重要な、囲い込まれた顧客だ」(同氏)

 最後のエントリでは、「FairPlayを他社にライセンスすれば秘密が漏れ、DRMのクラックにつながる」とのジョブズ氏の主張に、以下の2点を挙げて反論している。

 ・MicrosoftのWindows Media DRM 10(PlaysForSure)は、多数の企業にライセンスされているのに、セキュリティが破れられた回数はFairPlayよりも多いということはない

 ・MicrosoftがZune DRMをクローズドにしたのは、セキュリティではなくビジネス上の決定だ。また、PlaysForSureは今も市場に出回っている。実際、Wal-Martが6日に立ち上げた映画ダウンロードはPlaysForSureを採用している

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