オリコンがAPI公開 「Web2.0で集客、換金を」
オリコンがCDの売上げランキングAPIを公開する。同社はこれまで、ランキング情報を有償販売してきており、無料提供は異例。APIを公開することでサイトへのアクセスが増え、アフィリエイト収入が見込めると期待する。
オリコンは2月20日、Webサイト「ORICON STYLE」のランキング情報を取得できるAPIを順次公開すると発表した。CDやDVDの売り上げランキング情報が、外部のWebサイトやブログなどで自由に利用できるようになる。
同社はこれまで、ランキング情報を外部媒体に有償販売してきており、無料提供するのは異例。「自社ドメインからの情報発信にこだわらず、Web2.0的な仕組みで集客を図っていきたい」――同社の小池恒社長は、APIを公開することでORICON STYLEへのアクセスが増え、アフィリエイト収入が見込めると期待する。
ORICON STYLEは、音楽関連情報を中心にさまざまなランキングを公開しているサイトで、月間ユニークユーザーは900万以上。扱う分野は、音楽ニュースやCD・DVDの売上げランキングに加え、英会話やエステ、人材紹介業者などの顧客満足度(CS)をランキング化した「CSランキング」、ドラマの満足度ランキング、書籍やゲームソフトの販売ランキングなど多様だ。
まず、2月28日にCSランキングのAPIを公開。第2弾として4月7日に、CD・DVDランキングのAPIと、アーティスト情報検索システムのAPIを公開する。CD・DVDは、日別ランキングは5位まで、週間は10位までのデータを提供。それ以上のデータは従来通り有償販売とする。
CD・DVDのランキングAPIにはAmazon.co.jpのアフィリエイトを導入し、ランキング経由でCDやDVDが売れると同社にもアフィリエイト収入が入る仕組みにする。CSランキングは、ランクイン企業にクリック課金型広告を出稿してもらって収益化する。
「今ORICON STYLEは大手ポータルからのトラフィック流入が大きいが、API公開で多様なサイトからトラフィックを稼ぎ、収益を上げていきたい」
APIで巨大なランキングマシン作る
「ORICON STYLE」には他社のAPIも導入し、コンテンツの拡充と収益増につなげる。「APIを活用して巨大なランキングマシンを作り、アフィリエイト収入を獲得していく。どんなAPIをマッシュアップしたらサイトを活性化できるか、社内で議論している」
Amazon.co.jpやYahoo!ショッピングの商品情報API、価格比較サイトの商品ランキングAPI、ブログ検索サービスAPIなどを3月7日から順次導入する。CDランキング上に、Amazon.co.jpのレビューやブログの書き込みを表示する仕組みや、価格比較サイトからPCの売上げランキングを切り出して掲載するた仕組みを導入する計画。それぞれのランキングからアフィリエイトリンクを張り、収益化する考えだ。
また、携帯電話サイトでも、公式サイトではない無料の勝手サイト「ORICON STYLE mobile」への集客を強化。無料サイトで集客したユーザーを、「着うた」など有料サービスに誘導するというスタイルで収益を上げていく。
Web投資で4〜12月は経常赤字
同社が同日発表した2006年4〜12月決算(連結)は、売上高は前年同期比6.6%増の45億211万円、営業利益が同96.1%減の2012万円、経常損益は4243万円の損失(前期は5億1924万円の利益)、純損益は3億9391万円の損失(同3億225万円の利益)だった。
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ネット広告が伸びて売上げは伸びたが、ORICON STYLEのコンテンツ拡充やCSランキングの実施、「ORICON STYLE mobile」構築などの投資が響いた。また、PC向け音楽配信事業からの撤退に伴う費用を特別損失に計上したため純損失がふくらんだ。
第3四半期(10〜12月)単体では黒字を確保しており、3783万円の純利益を計上。Web事業も11月単体で黒字化したという。
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