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Second Life“不”人気、7つの理由(2/3 ページ)

Second Lifeに関する報道が一般紙などにも掲載され、日本企業の参入も相次いでいるが、日本人の登録ユーザー数は多くない。「何が面白いか分からない」と、すぐにやめてしまうユーザーも多く、話題先行の盛り上がり方は“空騒ぎ”にも見えるが──。

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高機能だが複雑怪奇なメニュー

 アバターを前後左右に動かすだけなら矢印キーだけで直感的にできるが、それ以上の行動――走ったり、飛んだり、座ったり、視点を変えたり、ものをつかんだりといった基本的な動作でさえも直感的には習得しにくく、Orientation Islandの英語ヘルプを必死で読むなりして覚えていくしかない。

 加えて、Second LifeブラウザはWebブラウザと見まごうほど高機能で、メニューが山のようにある。それぞれのメニューの役割を知り、使いこなせるようになるまでは、かなりの“勉強”が必要だ。記者も10時間以上はSecond Lifeをプレイし、さまざまなサイトなどで操作法を学んできたが、いまだにブラウザの全機能は理解していないし、設定などで分からない点がたくさんある。

(4)何をしていいか分からない

 (3)までのハードルを乗り越え、やっと操作法を習得したとしても、今度は「何をしていいか分からない」という壁にぶち当たる。Second Lifeは、倒すべき敵もいなければ、クリアすべきミッションもない完全に自由な空間。最初は有名な場所や企業SIMなど、無料で楽しめる場所を眺めて楽しんだとしても、一通りめぐるとやることがなくなってしまう。常時“「ドラクエII」で船を手に入れた後状態”が続いてしまうため、なんとなく足を踏み入れた人には退屈になってしまう。

 他ユーザーとのコミュニケーションを楽しむという手もあり、黙って歩いていても頻繁に話しかけるられるが、ネット上で見知らぬ人とコミュニケーションすることに抵抗がある人にとっては辛いだろう。英語圏のユーザーの方が圧倒的に多いため、会話はどうしても英語中心。英語が苦手な人にとって、コミュニケーションへの抵抗感は強い。

(5)何をするにもお金がいる

 Second Life内で何かやろう、と思い立ったとしよう。アバターの着せ替えでもいいし、アイテム生成でもいいし、家を建ててもいい。だが何をするにも、基本的にはリンデンドル――お金がかかってしまう。どの街に行っても目に付くのは、「○○L$」と値段を書いた看板。素敵なアイテムを見つけても、お金がないと手に入らない。

 アバターは自分でカスタマイズもできるし、無料のアイテムで着飾ることも不可能ではないが、初心者がアバターをかっこよくデザインするのはかなり難しく、無料アイテムにも限界がある。好みの姿に簡単に変身したいなら有料アバターが最も手っ取り早い。

 手持ちの画像などを使ってオリジナルアイテムを作るにも、お金が必要になる。データのアップロードごとに10L$(約5円)かかる仕組み。家を買って土地を持つのももちろん有料で、無料中心のネットの世界に慣れた目線で見ると、あまりに世知辛い世界だ。まだ見ぬ秘境に胸をときめかせて足を踏み入れたら、既にみやげ物屋が林立していた──というがっかり感というか、なにからなにまで「金、金、金」が待ち構えている世界に失望する人もいるだろう。

(6)右も左も広告だらけ

 ブログやSNSなど、ここ数年で大流行したサービスは、まずユーザーがコンテンツをどんどん作り、草の根から盛り上がっていった。大企業は当初、これらのサービスを注目もしていなかったし、ビジネス利用の可能性に対しても長く懐疑的。バナー広告の出稿すら渋っていた。ブログやSNSが広告媒体として認知され始めたのは、数百万人単位でユーザーが集まり、盛り上っていると確認できた後だ。

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IBMとCircuit City Storesが提携して昨年末に構築したこの店舗は大々的に報じられたが、3月6日午後1時ごろ行ってみるとまったく人気がなかった。広告目的のコンテンツに人が集まるのは、オープン当初だけだ

 だがSecond Lifeには、ユーザー規模が十分に拡大する前に大企業が続々と参入している。Second Life内で広告コンテンツを展開しても、ユーザーの絶対数が少ないため、効果はきわめて限定的。それにも関わらず企業の参入が相次ぐのは、Second Life進出が、Second Lifeの“外”の媒体――ネットニュースや新聞、雑誌、テレビなど――にニュースとして取り上げてもらってアピールしたいという意図や、「新しいネット分野にも強い先進的な企業」というイメージをつけたいといった意図からだろう。

 こんな「下心」を満載した広告コンテンツは、メディアに露出する、という当初の目的を達成すれば、打ち捨てられる可能性が高い。実際、企業が大規模に構築したSIMは、構築当初はユーザーが集まって盛り上がるものの、その後急速に人が来なくなる傾向がある。

 企業の拙速な参入は、Second Lifeを看板だらけのゴーストタウンにしてしまいかねない。また、企業が「広告ターゲット」を手をこまねいて待っている世界は、アフィリエイトだらけのブログのようで、一般ユーザーにとっての魅力には欠けるだろう。

(7)人気の場所はエロかギャンブル

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人気のスポットを上位からランキング表示した結果。アダルト系とカジノばかりだ

 Second Lifeで最も人気の場所は、「やっぱり」というべきか、アダルト系かカジノだ。トラフィックの多い場所を検索すると、「CASINO」「FREE SEX」「NUDE BEACH」などといった文字が並ぶ。これらに行ってみると裸のアバターが街をかっ歩し、セックスのスクリプトを使って見知らぬ人と、“バーチャルセックス”に興じていたりする。

 アダルト系のアバターやアニメーションは充実しており、さまざまなアイテムがそれなりの値段で手に入る。リンデンドルは米ドルに換金できることを考えると、カジノで遊ぶのは実際のお金をかけて遊んでいるのと同じだ。

 これらの人気スポットを見ていると、“3D空間を活用した新しいインターネットの可能性”というよりは、アングラコンテンツが幅を利かせていた初期のインターネットのように思えてくる。前者を期待してSecond Lifeに入ったユーザーは“ドン引き”しかねない。

なぜ話題が先行したのか

 Second Lifeを楽しむためには高いハードルを何度も超えねばならず、実際のユーザー数は少ない。にもかかわらず、なぜ話題だけが先行したのだろうか。

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