ベゾスCEO「Googlezonは憶測に過ぎないが……」
来日した米Amazonのジェフ・ベゾスCEOは、GoogleとAmazonが合併してGooglezonとなり、旧メディアを駆逐する──というストーリーについて「憶測に過ぎない」と一蹴し、「新メディアと旧メディアは対立しない」との考えを披露した。
米Amazonのジェフ・ベゾスCEOが6月8日、Amazon.co.jpの新サービス「Amazonプライム」発表に伴って来日し、メディアの未来について意見を披露した。2005年ごろに話題になった「Googlezon」については「憶測だ。そんなものは気にしない」とばっさり。AmazonやGoogleのような新メディアと新聞など旧来のメディアは対立するものではないと述べた。
Googlezonとは、2005年にネット上で話題になった仮想のストーリー。2015年までにGoogleとAmazonが合併して“Googlezon”となり、ユーザー個々にカスタマイズしたニュースを配信してNew York Timesを追い散らすというものだ(関連記事参照)。
ベゾスCEOはこれについて「詳細はよく知らないが、かなり憶測の入ったストーリーだ。そんなものは気にしない」と切り捨てた上で、「もっと一般的な観点で意見を述べるが、新聞のような旧来のメディアと、ネット上の新メディアは対立するものではない」と語る。
「ネットは何かを“可能にする”(enable)テクノロジーで、企業が業務を改善するのに役立つ。100年前の電気のようなものだ」
「100年前は電気そのものをビジネスにする『電気企業』と呼ばれる企業がたくさんあったのだろう。まるでいま、当社を含めて『ネット企業』と呼ばれる会社がたくさんあるように。その後電気企業そのものは減ったかもしれないが、ほとんどの企業が電気を利用して業務を改善している。いまのネットも同様で、多くの企業がネットを活用して業務を改善している」
「New York Timesのネット版はうまくいっている。たくさんのトラフィックを集めているし、世界中からの読者を獲得し、新しいチャンスを開いている。時代の変化とともに課題も出てくるが、企業も変化する」
「今後もさまざまな企業は出てくるだろうが、新メディアと旧メディアは対立するものではないと考えている」
「音楽の消費者はDRMフリーを求めている」
年内に開始を発表している、DRMフリーの楽曲販売ストアについても触れ「デジタル音楽を購入するユーザーは、コピープロテクトにわずらわされたくないと考えている。顧客の利便性を高めるためにDRMフリーにすることにした」と話した。
日本市場は「すばらしい環境」 中国は「投資段階」
国内のビジネス環境については「地価が高く、大きな店舗を作りにくいためECのニーズがあり、物流システムもネットインフラも整っているすばらしい環境」と述べた。
中国については「成長スピードが最も速い市場。投資フェーズにあり、今後も投資を続けていく」とした。
関連記事
- Amazon.co.jp、年3900円で「お急ぎ便」使い放題に
Amazon.co.jpで購入した商品を当日か翌日に届ける「お急ぎ便」が、年額3900円で使い放題になる会員制プログラム「Amazonプライム」が始まった。 - Amazon、DRMフリー楽曲販売ストア開店へ
Amazonは年内にDRMなしの楽曲をMP3フォーマットで販売するオンラインストアをオープンする - 「競合は気にしない」――AmazonのベゾスCEOが来日
米Amazon.comのベゾスCEOが来日し、同社の成功の秘けつを語った。 - 未来のニュースメディアは“Googlezon”で決まりか?
旧来ニュースメディアによる既存のインターネット事業の中に、メディアの未来を感じさせるようなモデルはまだ存在しない。未来のニュース配信はどうなるのだろうか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.