「P2P活用を」「ヘビーユーザーの帯域制御OK」――総務省懇談会、ネット混雑緩和へ提言
ネットトラフィックが急拡大している現状に対応すべく、総務省の懇談会がまとめた報告書案では、P2P技術の積極的な活用を提言しているほか、トラフィックを圧迫する一部ヘビーユーザーに対する一時的な帯域制御は容認される――などとしている。
総務省は6月20日、「ネットワークの中立性に関する懇談会」の報告書案をまとめた。ネットトラフィックが急拡大している現状に対応すべく、P2P技術の積極的な活用を提言しているほか、トラフィックを圧迫する一部ヘビーユーザーに対する一時的な帯域制御は容認される――などとしている。
同懇談会は、次世代ネットワークへの本格的な移行を前に、公平なネットワーク利用やコスト負担のあり方などを、昨年11月から検討してきた。報告書案をもとにパブリックコメントを募集し、最終的な報告書をまとめる。
報告書案では、P2Pファイル交換や動画サイトの普及でネットトラフィックが急増している現状を指摘。混雑解消のためスケーラブルなネットワークを構築する必要があるとしているほか、P2Pを「コンテンツ配信などを効率的に行うために不可欠な技術」と位置づけ、P2Pを活用した配信システム構築を提案している。
P2Pファイル交換ソフトの常用などで帯域を圧迫しているヘビーユーザーについては「追加料金を徴収すること自体は合理的な理由がある」とする。一部のヘビーユーザーによるトラフィックが契約者全体の通信速度を低下させるケースがあるが、これを防ぐためにISPが緊急避難的に帯域制御を行うことは「社会的に許容される」としている。ただし制御の際は客観的な基準を設定し、恣意的な運用を避けるべきとしている。
ぷららなど一部ISPは、昨年からWinny通信を自動で判別してしゃ断する仕組みを導入し始めており、これが「通信の秘密の侵害に当たるのでは」という議論もある。これについて報告書案では「通信の秘密の確保との関係で慎重な検討が必要」としている。
また、NTT東西が構築している次世代ネットワークについては、NTTにも適正な利益が入りつつ、他の事業者との競争を阻害しないような接続ルールを制定するなど、仕組み作りが必要としている。
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