ネットにも規制を――放送法と通信法、一本化へ
総務省の研究会はこのほど、通信と放送の融合時代にあるべき法体系について中間報告を発表した。ネットコンテンツが放送に近い影響力を持ち始めていることを踏まえ、放送関連と通信関連の法律を一本化した「情報通信法」(仮)の制定を提言している。
総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」はこのほど、通信と放送の融合時代にあるべき法体系について中間報告を発表した。ネットコンテンツが放送に近い影響力を持ち始めていることを踏まえ、放送関連と通信関連の法律を一本化した「情報通信法」(仮)の制定を提言している。
報告では「放送事業者には規制が課されているが、ネット上のコンテンツは通信として扱われ、強力な伝ぱ力があっても規制がないため、違法・有害コンテンツの流通拡大を招いている」などと指摘。表現の自由に配慮しつつ、必要最低限のルールが必要と説く。
新法では、放送・ネットコンテンツを統合し、影響力や公共性などに応じて「特別メディアサービス」「一般メディアサービス」「公然通信」の3つに分類。それぞれについて規制を検討する。
特別メディアサービスは、影響力・公共性が最も高いコンテンツで、現在の地上波テレビもこれに含まれ、地上波テレビと同等の規制を受ける。情報を総合的に発信するほか、災害時などに緊急連絡を行うなど社会インフラとしての役割を担い、マスメディア集中排除原則も適用される。
一般メディアサービスは、衛星放送やCATVと同等の位置づけ。事業性があり、一定の社会的機能・影響を持つものがこれに分類され、衛星放送・CATVのほか、STBを使ってテレビで見られる映像配信サービスなどが含まれる。番組編集や広告に関する規制を受ける。
公然通信は、一般・特別メディアサービス以外の通信を指し、個人Webサイトや掲示板、ブログなども含まれる。これらのコンテンツは従来、プロバイダ責任制限法などを除き規制が制度化していなかったため、有害コンテンツが社会問題化している現状もあるとし、必要最小限の規律を制度化すべきと提言している。
違法・有害コンテンツに関しては、関係者が守るべきルールの基本部分を設定し、事業者団体などがガイドラインなどを作りやすくすべき、としている。
中間報告へのパブリックコメントを7月20日まで募集し、年末までに最終報告をまとめる。
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