完全無料の総合セキュリティソフト キングソフト、広告モデルで
キングソフトが、アンチウイルスやファイアウォールソフトなどを含む総合セキュリティソフトを完全無料化し、ダウンロード配布を始めた。有料版と機能は変わらないといい、収益はソフトに広告を表示することで得る。
キングソフトは7月19日、無料の総合セキュリティソフト「Kingsoft Internet Security free」の配布を始めた。広告事業者やポータルサイトと組み、ソフトの操作画面に広告を表示することで収益を得る仕組み。ウイルス対策ソフトやファイアウォールなどを含む総合ソフトの無料化は「国内初では」としている。
同ソフトは、ウイルス対策ソフト、ファイアウォールのほか、スパイウェア対策、スパム対策、OSの脆弱性診断ツールを含む総合セキュリティソフト(Windows 98 SE/Me/2000/XP/Vista)。同社Webサイトなどから無料でダウンロードでき、一般のセキュリティソフトで必要な年間更新料なども不要だ。
機能は2980円で販売している「Internet Security 2007」と同等で、ウイルス定義ファイルの更新など、アップデートも1日3回以上行う。「ウイルス検出率は有料の他社ソフトに引けを取らない」という。広告が表示されない有料版に切り替えることも可能だ。
インストール時にはユーザー属性情報を入力する必要があり、これを基にユーザーに合った広告を配信する仕組み。広告はソフトの操作パネルやポップアップウィンドウなどに表示する。
広告はリンクシェア、オーバーチュアと提携して配信する。またインフォシーク(楽天)やエキサイト、「2ちゃんねる検索」(未来検索ブラジル)などネットサービス各社とも提携し、各社のブランドを操作パネルに表示したバージョンを配布してもらい、普及を進める。
同社は中国のソフトメーカー金山軟件の日本法人。2005年9月に、100万本まで無料公開した総合セキュリティソフトで国内市場に参入し、マイクロソフト「Office」と互換性が高いという安価なオフィスソフトも販売している。
セキュリティソフトの無料化で、ソフトを広告メディアとしても活用するビジネスモデルを導入。有料販売モデルと合わせ、収益源の多様化を図っていく。
キングソフトの広沢一郎代表取締役は「世界に先駆けて総合セキュリティソフトを完全無料化した。ユーザーのメリットがとても分かりやすく、速やかに浸透すると確信している」と自信をみせる。まだセキュリティソフトを導入していないPCユーザーが3割以上いる上、更新無料を打ち出したソースネクストが販売を伸ばしていることなどから、無料のセキュリティソフトへの需要は十分あると見ている。
国内参入時、100万ダウンロードは5カ月で達成した。新ソフトは「それと同じか早いペースで100万を達成し、300万、500万と伸ばしていきたい」としている。
オフィスソフトにVBA対応版
オフィスソフト「Kingsoft Office 2007」の新バージョンを19日に公開した。「Writer」「SpreadSheets」「Presentation」の各ソフトで改善が施されており、既存ユーザーは無料でアップデートできる。
また、要望が多かったというVBA(Visual Basic for Application)対応版を発売した。VBAによるマクロを利用できる。ダウンロード価格は5480円。
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