mixi、PCの伸び止まる モバイルは急成長
1000万ユーザーを突破したmixiだが、PCサイトのPVは昨年終わりごろから減少傾向だ。代わって携帯向け「mixiモバイル」が急成長。PC向けサービスも拡充しつつ、モバイルの機能拡張を急ぐ。
5月に1000万ユーザーを突破し、急成長を続けてきたSNS「mixi」だが、PCサイトの伸び悩みがはっきりしてきた。その一方で携帯電話向け「mixiモバイル」は急成長。運営元のミクシィは、他社の携帯サービスで人気を集めている、無料ゲームやアバターシステム導入を検討するなど、モバイルユーザー向けの思い切った施策の検討を始めた。
同社が7月31日に発表した、PC向けmixiの6月の月間ページビュー(PV)は、サイト合計でもユーザー1人当たりでも減少した。3月と比べると、サイト合計が約7%減(64億8000万)、1人当たりは19%減(607.0)。モバイルのPVは急伸しており、mixiモバイル全体だと3月比30%増(52億7000万)、1人当たりだと13%増(493.3)となっている。
7月31日に開いた決算会見の席で、同社の笠原健治社長は「PCのPVは、上場した去年の10月ごろから伸びていない」と認め、その理由を「携帯電話からでもmixiメッセージを送受信できるようにするなどモバイルの機能を向上させたため、これまでPCで閲覧していた人も携帯から使うようになったのだろう」と分析する。
6月半ばにはmixiモバイルのトップページをリニューアル(関連記事参照)。インタフェースを改善し、モバイルからもニュースや動画を閲覧できるようにするなど、機能拡充を急ピッチで進めてきた。「リニューアル後もモバイルのPVは順調に伸びている」
PC向けでも、新着コメントをデスクトップに表示するツールを公開するなど(関連記事参照)機能拡充を進めているが、PVを底上げするには至っていない。「今後も新機能導入を行うなどして、1人当たりのPVを上げていきたい」
PC低調、モバイル絶好調という状況下で、同社はモバイル向けサービス拡充を急いでいる。10代を中心に人気を集め、急成長を続けている携帯電話向けサービス「モバゲータウン」(ディー・エヌ・エーが運営)で集客の核となっている、ゲームやアバター機能を、mixiモバイルにも導入することを検討中。現在は18歳以上限定のmixiだが、18歳未満にも門戸を広げることも検討し、携帯をよく使う若年層も取り込むことを視野に入れる(関連記事参照)。
アクティブ率、低下続く
7月末時点での登録ユーザー数は1110万で、5月10日よりも127万増えたが、アクティブ率(3日以内に1度でもアクセスしたユーザーの割合)は62%と5月10日比で2ポイント減。開始から昨年11月までは70%以上を誇ってきた同サービスのアクティブ率が、じわじわと下がってきている。
この理由を笠原社長は「2005年〜2006年ごろ入会したユーザーのアクティブ率が低下しているため」と説明する。「mixiは、開始当初の2004年ごろに入会したユーザーと、最近入会したユーザーのアクティブ率が高い傾向が続いている。2006年はmixiが伸び盛りのころ。興味本位で入ったユーザーが多かったのかもしれず、そういったユーザーのアクティブ率が下がっているのかもしれない。アクティブ率向上に向け、魅力的なサービスを投入していきたい」
自社検索エンジン、なぜ導入
mixiの検索エンジンは7月2日、従来のgooのエンジンから自社開発に切り替わった(関連記事参照)。「検索はコアだと思っている。自社でエンジンを持てば、例えば、マイミク日記限定の検索など、柔軟なカスタマイズが可能になる」
検索で培った技術を、コンテンツのリコメンドシステムや、広告配信にも生かしていくことも視野に入れる。「ユーザーのプロフィールや日記などを解析してその人に合ったコミュニティーやレビュー記事を推薦したり、コンテンツに合った広告を配信するなども可能。応用範囲は広い」
mixi動画、総投稿数は「YouTube、MySpaceに次ぐ規模」
ユーザーが動画を投稿できるmixi動画は、総投稿数が75万本に上っている。「動画投稿サイトとしては国内最大規模、世界レベルで見ても、YouTubeやMySpeceに次ぐ規模では」。
1日1〜2万本のペースで増え続けているという。
1Q決算、広告順調で売上高2.4倍に
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同社が同日発表した07年4〜6月期の決算(単体)は、売上高が前年同期比2.4倍の21億4900万円、営業利益が2倍の9億1100万円、経常利益が2倍の9億1300万円、純利益が88.6%増の4億9600万円。
売り上げの大半を占めるmixi事業は、配信ユーザーを限定したターゲティング広告や、コミュニティーを使った広告が好調で、広告の売上高は3.2倍の16億7100万円。1PV当たりの広告売上高は、PC、モバイル双方で上昇した。月額315円の有料会員「mixiプレミアム」からの売り上げは2.1倍の1億4400万円。
求人サイト「Find Job!」事業の売上高は2.2%増の3億3400万円だった。
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mixiの広告出稿が好調で業績をけん引したが、ユーザーのアクティブ率は7割を割った。携帯SNSでは「モバゲータウン」が急成長するが「雰囲気もコンセプトも大きく違う」と笠原社長は語る。 - mixi、検索エンジンを自社開発に gooから移行
mixiのサイト内検索エンジンがgooから自社開発に変わった。Web検索もgooからYSTに移行し、Web検索・サイト内検索ともにオーバーチュアの検索連動広告を導入した。
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