WiMAX免許取得レースに「弱点なし」──KDDI小野寺社長
WiMAX参入を目指すKDDIの小野寺正社長は、免許取得の見通しについて「現時点では弱みはない」と自信を見せた。サービスはPC向けを想定。「auとWiMAXはビジネスのカテゴリーが違う。同じカテゴリーならWiMAXをやる必要はない」として、auサービスの高速化も継続する。
モバイルWiMAXサービス参入を目指すKDDIの小野寺正社長は9月19日の定例会見で、免許取得の見通しについて「他社がどう出てくるか分からないが、現時点では弱みはない」と自信を見せた。
KDDIは前日、WiMAX免許の取得を目指す新会社を発表。大株主の京セラや、WiMAX規格を主導してきた米Intel、JR東日本に加え、大和証券グループ本社と三菱東京UFJ銀行の金融2社も資本参加する(関連記事参照)。
小野寺社長は定例会見で、「最初から本気で始めるつもりでWiMAXを準備してきた」と優位点を説明。WiMAXに力を入れるIntelと、駅と線路という強力な社会インフラを抱えるJR東日本を引き入れることができたのは「積極性と本気度を評価してもらった」からだと胸を張る。
日本のWiMAX端末が海外でそのまま使えるよう、日本の国内レギュレーションとWiMAX規格とがなじむように提案してきた技術面の実績や、大手証券とメガバンクによるファイナンス面のバックアップなどもアピールポイント。「やる気のある会社が資本力をもってやらないと中途半端になり、サービスが立ち上がらないということがある」と、6社連合によるWiMAX事業化に自信を見せた。
かつての子会社だったウィルコムが参入を目指す次世代PHSについては、「WiMAXは国際標準であり、次世代PHSも標準化されており、その意味ではどちらでもいいだろう。ただ、WiMAXはPC用チップセットメーカーのIntelが強力に進めている。Wi-Fiがチップセットに内蔵されたように、WiMAXもいずれ組み込みになる。米国でも使え、いずれ欧州などでも使えるようになるだろう。これは大きな要素だ」「WiMAXが国際的に広がるのは間違いないと思う」と述べた。
まずはモバイルPC向け通信サービスから始める計画だ。auとWiMAXは切り分ける。「auとWiMAXはビジネスのカテゴリーが違う。同じカテゴリーなら、あえてWiMAXをやる必要はない」
KDDIは「『モバイル』と『ワイヤレス』は別のカテゴリー」と考える。シームレスなハンドオーバーや、高速移動時でも通信が途切れないなど、高度なサービスレベルを求められる「モバイル」(=au)と、「途中で一時的に切れたとしても、論理リンクがつながっていれば通信が再開され、切れていたことが分からない」というPC向け通信の「ワイヤレス」(=WiMAX)では、市場もサービスのあり方も異なると見る。
このため、auサービスの高速化も継続して続けていく。「タイミングや方式は検討中。ただ、日本で先行して、世界標準と差分が生じるようなことはしない。世界標準化が遅れれば、高速化も遅れる」というスタンス。EV-DO Rev.A対応端末も秋冬モデルで増えるという。
ただ通信速度が上がれば、ビットストリームを処理する携帯電話用プロセッサの能力などで問題も出てくるため、「携帯サービスに本当に求められるスピードを考える必要がある」とも。NTTドコモが開始に踏み切るPC向けパケット定額制サービスも、「携帯電話端末はわれわれが仕様を決められるので、ユーザーが公平に使える仕組みを入れることができた。だがPCは何の制限もない」として、検討はしているが、「何らかの制限」とのセットになるとの考えだ。
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