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ナノチューブでできた極小ラジオの開発に成功――米大学
アンテナ、チューナー、アンプなどの役割を1つでこなす超小型ラジオは、エネルギー効率も高く、さまざまな用途への応用が期待される。
米カリフォルニア大学バークリー校は10月31日、同校の物理学教授らが、「世界最小」のラジオを開発したと発表した。髪の毛の1万分の1の細さとされるカーボンナノチューブで作られたラジオで、バッテリーとイヤフォンさえあれば、好きなラジオ局に周波数を合わせることができるという。
この極小ラジオを開発したのは、物理学部のアレックス・ゼットル教授ら。昨年、FM放送の受信や音楽の送受信にも成功したという。
「最初の商用ラジオの1000億分の1」サイズの極小ラジオは、1本のカーボンナノチューブがアンテナ、チューナー、アンプ、復調装置のすべての役割を果たし、AMにもFMにも対応できる。また、受信機としても送信機としても使用可能。ゼットル教授は、携帯電話から極小端末まで、さまざまな用途に利用できる上、極めてエネルギー効率が高いため、小型電子回路との統合も容易とみている。また、血管内に送り込んで利用する無線端末など、まったく新しい用途に発展する可能性もあるとしている。
現時点では、このラジオでの受信状態は鮮明ではないが、組み立て時の状況を改善することで音質の改善が可能とみている。
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