米AMDは12月13日、ニューヨークで開かれたウォール街のアナリスト向け説明会で、年内にクアッドコアプロセッサを市場に出すのが困難な状況であることを明らかにした。
しかしヘクター・ルイズCEOや同社関係者は、来年は製品ポートフォリオを刷新し、黒字転換を果たすと言明した。
年次アナリスト説明会でルイズCEO以下経営陣は、サーバとデスクトップPC向けクアッドコアプロセッサの2007年内投入には問題があることを繰り返し認めた。しかし2008年第1四半期以降はこれら問題を解決すると約束している。
「失敗したことは非常に屈辱的だ」とルイズCEOは言い、クアッドコアのOpteronとデスクトップ向けPhenomの同時発売には予期せぬ問題があり、準備が整っていなかったと説明した。AMDは先週、同プロセッサに関する技術的問題、具体的には変換索引バッファの問題が見つかり、現在対応中であることを認めている。
こうした失敗を念頭にルイズCEOは、AMDにとって2008年の「最優先課題は黒字転換だ」と強調。現在の計画の下で、2008年第3四半期までには黒字転換できる見通しだとしている。AMDは過去4四半期連続で赤字を計上している。
AMD経営陣によると、デスクトップとサーバ向けのクアッドコアプロセッサは今四半期中に数十万個を出荷する計画だが、PCメーカーが新しいクライアントやシステムを発売するのは早くとも2008年第1四半期になる見通しだ。この日の説明会でAMDは、クアッドコアのOpteronを搭載したDell PowerEdge 2970サーバとSun Microsystems Sun Fire x4600のデモを行った。
クアッドコアプロセッサの問題解消に加え、AMDは来年、製品ラインの大掛かりな刷新を予定している。この計画にはコードネーム「Puma」と呼ばれる新しいノートPC用プラットフォームも含まれる。AMDはノートPC向けプロセッサでは過去1年でIntelと競争を続けることができており、2008年にはコンシューマー向け製品のラインアップを拡充する計画だ。
ロバート・リベットCFOによると、ほかにも商用クライアント、中小企業向け市場、およびATI部門のグラフィックス技術を使った携帯端末とワークステーションの新製品など、複数分野への進出を計画している。
マイクロプロセッサ市場で利益と市場シェアにかかわる重要指標となる粗利率も、来年は50%に引き上げ、研究開発に充てる予算も増額するという。
2008年上半期までに45ナノメートル(nm)プロセッサの製造も増やす予定で、新しい製造プロセスを採用したプロセッサは上半期までに市場に出せる見通しだとしている。
「来年はあらゆる事業が黒字化する」とリベット氏は話し、2007年は全部門が赤字だったと言い添えた。
AMDは1万6000人いる陣容の削減をまだ発表していないが、来年は引き締めを計画している。例えば設備投資は今年の17億ドルから2008年は11億ドルに削減予定。45nm製造プロセスに使われる300ミリウエハーに完全移行した後、200ミリ製造設備の一部を売却する可能性もある。
ルイズ氏もほかの経営陣も、今回の説明会で触れようとしなかった分野が1つある。AMDの「アセットライト」戦略がそれで、現在では「アセットスマート」と改称されている。その目標は、プロセッサ製造関連コスト削減を支援することだが、アナリストから情報を求められても同社は詳しい説明を拒んだ。
製造/サプライチェーン管理担当上級副社長のダグ・グロース氏によると、同社はCharter SemiconductorおよびIBMの両社との提携を強化している。IBMは12月6日、32nmプロセッサ用の新技術を開発したと発表した。
AMDは2010年に初の32nmプロセッサを、2011年には22nmプロセッサを投入する計画だ。
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