米国土安全保障省、テロ対策の「REAL ID」規制を発表
不法滞在者の運転免許証取得を防止し、テロ対策を強化するための「REAL ID」規制の導入期限など、最終的な決定内容が公開された。
米国土安全保障省(DHS)は1月11日、身分証明書となる運転免許証およびIDカード取得のハードルを上げ、不法滞在者などが違法に免許証を取得するのを防止する「REAL ID」規制の最終決定内容を発表した。当初の見積もりと比較して、各州の導入コストを73%近く削減できる見通しという。
米連邦取引委員会(FTC)によれば、ID窃盗は2000年から2006年にかけて約800%も増加。また米移民税関執行局が、2007年度に各種政府関連機関で逮捕した863人中、500人以上が公式文書を偽造していた。米財務省検察局は、昨年金融関係のID詐欺で4348人を逮捕している。同省の調べによれば、2000年から2006年にかけて起きたID詐欺事件のうち、35%で不正な運転免許証が使用されていたという。
REAL ID規制に基づく運転免許証の最初の導入期限は2009年12月31日となる。同期限までに、各州は申請者の身元確認が確実に行えるよう、運転免許証発行システムのセキュリティをアップデートする必要がある。また規制発動以降は、REAL ID免許証を所持していない限り、連邦政府機関への立ち入り、飛行機の利用、原子力発電施設への立ち入りができなくなる。
国土安全保障省は、各州のREAL ID導入支援のため、約3億6000万ドルの支援金を準備する。
同省は当初、REAL ID導入コストを146億ドルと見積もっていたが、高齢者への発行期限に柔軟性を持たせることで、今回の最終案では73%ダウンの39億ドルへと大幅に緊縮化した。50歳以下については2014年12月1日までに発行を完了し、51歳以上の期限は2017年12月1日まで延長した。
同時多発テロでID管理の不備が露見したことを受け、連邦議会は2005年にREAL ID法を可決している。
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