「ダウンロード違法化」法案、今国会への提出は困難か
「ダウンロード違法化」などについて話し合ってきた私的録音録画小委員会が「議論を来期に持ち越す」という内容の報告書を著作権分科会に提出。著作権法改正法案の今通常国会への提出は、困難な情勢になってきた。
文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会の最終会合が1月30日に開かれ、各分科会から審議経過の報告があった。同分科会傘下で、違法録画・録音物のダウンロード違法化などについて話し合ってきた私的録音録画小委員会は「議論を来期に持ち越す」という内容の報告書を提出。ダウンロード違法化を含む著作権法改正法案の今通常国会への提出は、困難な情勢になってきた。
同小委員会はこれまで、ダウンロード違法化や、DRMの普及を前提にした補償金制度の縮小について話し合ってきた。ダウンロード違法化について、文化庁は「委員の意見がおおむね一致した」という認識だが、補償金制度の縮小では意見がまとまっておらず、来期の小委員会で継続して議論する方針だ。
文化庁は「ダウンロード違法化と補償金縮小はセットで考えている」としており、補償金縮小で委員の合意を得た上で、双方を盛り込んだ著作権法改正法案を提出する計画だ。ただ、来期の小委員会が始まるのは早くても2月。今国会の会期終了(6月15日)まで残された時間が少ない上、衆参で与野党が逆転する「ねじれ国会」という状況の中、法案提出は難しい情勢になってきた。
文化庁の川瀬真・著作物流通推進室長は「今国会への法案提出をあきらめたわけではない。小委員会が行われていない間も、補償金制度の縮小について各団体などと調整を進める。小委員会で2〜3回程度で議論を終えて法案を提出するという可能性は捨てていない」と話した。
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