Yahoo!買収提案にソフトバンクはどう動く
「さまざまな提案があるだろうが」――ソフトバンクの孫社長は、MicrosoftのYahoo!買収について決算会見でコメント。Google対抗策についても話した。
ソフトバンクの孫正義社長は2月7日に開いた決算会見で、米Microsoftが米Yahoo!に買収を提案したことについて「これからYahoo!取締役会で検討するだろうが、どういったあり方が望ましいかはノーコメント」と話した。
ソフトバンクはYahoo!発行済み株式の3.9%を保有しているほか、Yahoo!が33.43%出資する日本のヤフーの筆頭株主(41.09%出資)。Yahoo!が筆頭株主となっている中国Alibabaの第2位株主でもある。
「Yahoo!の株主構成がどうなるのか、わたしにもジェリー・ヤン(Yahoo!CEO)にもまだ結論めいた方向性がないという状態。さまざまな提案があるだろうが、どういう形が望ましいのかはノーコメント」
Yahoo!買収合戦に参戦する可能性については「なんだってありえるが、今のところそういう考えはない」とした。
Google対抗策は
MSはYahoo!を買収してGoogleへの対抗勢力を形成しようとしている。孫社長はGoogleについて「5年、10年の中長期の戦いの中で、重要なキープレイヤーの1社」と評価する。
ただ「Googleは日本や中国などアジアではナンバーワンではない」と指摘。日本で検索ナンバーワンのYahoo!JAPANや、同社が出資する中国Alibabaがアジアでは強いと話す。
「世界の時価総額上位5社のうち3社が中国。アジアを制する者が世界を制する。Alibaba+Yahoo!JAPANで世界ナンバーワンのネット企業といわれる時代が10年、20年後にはやってくるのではないか」
「違法でもいいからYouTube対抗」検討した
Google子会社のYouTubeについて「YouTubeは違法コンテンツがかなりを占めている。YouTube対抗サービスを、場合によっては違法でもいいからやるべきか、ずいぶん議論したが、日本のテレビ局が猛反対するだろうし、訴訟になると手間取る」と考え、避けたという。
「ソフトバンクやヤフーが、テクノロジーに対する考え方やモデルがGoogleに比べて古いということはない。Googleは検索で先行したが、例えば、どのテレビ局が最初に放送開始したのかとか、どのメーカーが最初に自動車を作ったかというのはあまり関係ない。長期スパンの中で見ればチャンスはあると思っている」
携帯がネットの主戦場に
「今年は携帯電話がインターネットマシン化する元年」――孫社長は会見でそう繰り返した。「MSもGoogleもヤフーもみんな、今年から携帯の世界にネットを持ち込もうとしている」
総合力が武器になるという。「インフラだけ、ポータルだけ、コンテンツだけの会社はあるが、すべてをフルセットで持っている会社はソフトバンクぐらいだろう。Googleは検索とYouTubeというコンテンツを持っているが、インフラは持っていない。NTTはインフラは持ってるが検索やポータル、コンテンツの存在感はほどんどないと認識している」
携帯好調で増収増益 純増は9カ月連続首位
同日発表した2007年4〜12月期連結決算は、携帯電話事業が好調で、売上高は前年同期比13.0%増の2兆587億円、営業利益は31.9%増の2601億円だった。
Alibabaの上場益も加わり、経常利益は107.9%増の2319億円、純利益は324.9%増の931億円と大きく伸びた。
携帯電話事業の売上高は20.3%増の1兆2205億円、営業利益は30.3%増の1479億円。契約者純増数は2007年5月以降9カ月連続で首位。解約率は1%を切った。
「ホワイトプラン」の好調などで加入者1人当たりのARPU(加入者1人当たりの売上高)は減少が続くが、「割賦で販売した端末代金の月々の支払いを足し合わせるとARPU減少は去年の第4四半期で底打ちしている」と孫社長は話し、「過剰な心配はいらない」とした。
「ホワイト学割」などさらに低価格なプランも打ち出している。「まずシェア拡大して面を取るのが基本戦略。その後、ネット利用を活性化してデータARPUを引き上げていく。ネット利用に適した端末やサービスを続々と投入している」
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