アッカvs.イー・アクセスはいったん決着 アッカ社長交代、イー・アクセスは要求取り下げ
アッカの木村社長が退任を発表。経営陣交代を求めていたイー・アクセスは新経営陣に「一定の評価」を与え、株主提案を取り下げる。ADSL同業同士の対立はいったん決着することになった。
アッカ・ネットワークスは2月21日、木村正治代表取締役社長(60)が退任し、後任に須山勇執行役員(41)が昇格する人事を内定した。3月28日の定時株主総会を経て正式決定する。木村社長の退任理由は「健康上の理由」としている。現経営陣の退任を求めていた筆頭株主のイー・アクセスは同日、新経営陣案を条件付きで評価し、株主提案を取り下げると発表した。ADSLの同業同士の対立はいったん決着することになった。
木村社長は同日都内で会見し、退任の理由について「一昨年から心臓疾患があった。普段は影響なかったが、昨年末に体調を崩し、健康に不安を抱えるようになった。ワイヤレス事業などの新規計画を実践したい気持ちもあるが、リスクを抱えていくより、若くて新しい人に任せるべきだと判断した」と説明した。
湯崎英彦取締役副社長も、「WiMAX免許を取得できなかったことに対しけじめをつける」として同時に退任する。廣野広一取締役財務経理部長は留任する。
木村社長は「退任は当初から考えていたもので、イー・アクセスの提案がきっかけになったわけではない」と説明。退任する2人は今後の予定は未定という。
社長に就任予定の須山氏はアッカ設立メンバー。法人サービス部長や技術本部長を歴任し、現在は技術・オペレーション担当執行役員兼システム本部長。木村社長は「若くはあるが、ネットワーク事業のオペレーションを熟知しており、社内の人望やパートナーの信頼も厚く、最適の人材と取締役会全員一致で推薦した」と選んだ理由を話した。
須山氏は「株主・顧客視線を忘れずに、成長戦略を着実に実行していきたい」と抱負を語った。イー・アクセスには事前に人事案を相談していないが、今後「あいさつにうかがいたい」とした。
副社長にはパワードコム出身の塚本博之氏が就任する予定。通信分野での長い経験を買われ、「須山さんの得意分野と私の経験を組み合わせ、いいコンビになると思った」と就任を承諾した理由を話した。
「引き続き厳しく見守る」──イー・アクセス
木村社長らの退任を要求する株主提案を提出していたイー・アクセスは、アッカの発表に対し「常勤取締役3人のうち2人を退任させることは、当社の株主提案が引き出した結果と評価する」などとコメントし、「企業価値と株価の向上に向け、引き続き経営を厳しく見守る」とした。
提案は取り下げるが、アッカが08年12月期の業績見通しを減収減益としたことは受け入れられないとして、中間決算までに事業計画を見直すよう新経営陣に求めた。「今後の経営状況により、新たな対応を行う可能性は否定しない」としている。
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