ソニー・シャープの液晶共同生産、韓国に衝撃
ソニーが合弁を組んできたSamsung Electronicsの地元韓国では、ソニーの動きは驚きをもって受け止められているようだ。
ソニーとシャープが液晶パネルを共同生産する合弁会社を設立することで合意したが、ソニーが合弁を組んできた液晶世界首位・Samsung Electronicsの地元韓国では、日本のメーカーの動きが驚きをもって受け止められている。
2月26日にソニーとシャープが両社が都内で開いた記者会見で、韓国メディアの記者から、ソニーの中鉢良治社長に対し「今回の提携はSamsungとの関係を悪化させないか」と質問があった。中鉢社長は「Samsungとの共同経営は何ら変更なく続けていく。合弁は2004年から順調に推移していると認識している」と答え、Samsungとの関係は従来通りだとした。ただ、Samsungとの合弁会社「S-LCD」の今後の投資計画への質問には「ノーコメント」を貫いた。
Samsung Electronicsは液晶パネル、液晶テレビともに世界シェアトップを誇る韓国の代表的企業だ。ソニーとシャープの提携が伝わると、朝鮮日報の日本語Web版は25日付けで「打倒サムスン! ソニー、シャープから液晶調達へ」と題した記事を掲載。「『打倒サムスン』を叫ぶ日本メーカーからの同時攻撃でサムスン電子が危機を迎えている」とし、提携はソニーがSamsungとの決別を宣言するための「事前作業」との業界の見方を伝えた。一方で、世界的メーカーが調達先を広げるのは一般的であり、両社の関係は今後も維持される──とするSamsung関係者の見方も紹介している。
また中央日報の日本語電子版によると、Samsung Electronicsのイ・サンワン社長は記者からの質問に「ソニーと決別するわけではない」などと答えるなど、対応に追われているようだ。Samsungグループが不正資金疑惑に揺れていることもあり、同社の経営の空白をついてソニーがシャープとの提携に踏み切った──という見方も浮上している。
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