富士通社長に野副上席常務が昇格 黒川社長は相談役に
富士通社長に野副上席常務が昇格する。黒川社長は「ワンマンコントロールの弊害が出てきた」と、秋草会長とともに相談役に退く。
富士通は3月27日、野副州旦(のぞえ・くにあき)経営執行役上席常務(60)が代表取締役社長に、間塚道義代表取締役副社長(64)が代表取締役会長に昇格する人事を発表した。6月下旬の定時株主総会を経て正式決定する。
黒川博昭代表取締役社長は取締役も退き、相談役に就任する。秋草直之代表取締役会長は取締役相談役に就く。
黒川社長は2003年に就任し、在任期間は5年。就任当時の同社は経営不振に陥っていたが、ソリューション事業などの立て直しが進み、08年3月期の連結営業利益は2000億円に達する見通し。利益が出る体質が定着し、黒川社長は「シンプルな経営をしてきたことが寄与しているのでは」と振り返る。
一方、「システムエンジニアが長く、プロジェクトマネージャーとして強いワンマンコントロールでやってきたが、何事も私の確認を求めるようになり、下から情報が上がってこなくなるなどの弊害も出てきた」という。昨年12月ごろから秋草会長と話し合いを続け、「新しい会長と社長の2人に自由な経営をしてもらおう」と社長、会長の交代を決断したという。ただ、秋草会長は対外的な活動を担当してきた立場を考慮し、取締役にとどまる。
野副上席常務は海外経験が長く、黒川社長就任後はSI事業の立て直しを進めた実績があり、「非常にバランス感あり、実行力、幅広い人脈もある。マネジメントを変えるには最適な人材」と黒川社長は評価する。
野副上席常務は「私は社長の指示を徹底してきたが、今までほめられたこともないし、青天の霹靂(へきれき)と言うよりほかはない」と話す。今後の課題としてグローバル化を挙げ、「国内では強いソリューションを提供する力がついてきたが、このままグローバル展開するにはリソースに限界がある。Sun MicrosystemsやIntel、SAPなどのパートナーとWin-Winの関係で成長できる体制を追求していく」と抱負を語った。
間塚副社長は「私の盟友であり、私がSEで間塚さんが営業をして──というのを繰り返してきた」(黒川社長)。産業営業本部長、東日本営業本部長などを歴任し、「富士通でお客のことを一番考えている人は間塚さんだと自信を持って挙げられる。お客のパートナーとして成長していくという観点で、野副さんをサポートしてもらおうと推薦した」(同)という。
間塚副社長は「執行は野副さんに任せ、会長として『お客様基点』で外部の声を反映させていきたい」と語った。
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